清荒神清澄寺を訪ねて 鉄斎美術館本館「聖光殿」 「鉄斎の人物画―画道のはじめは人物なり―」後期展

清荒神清澄寺を訪ねて 鉄斎美術館本館「聖光殿」 「鉄斎の人物画―画道のはじめは人物なり―」後期展

 見上げる山々の新緑が美しい清荒神清澄寺。皐月の薫風が心地よく境内を吹き抜けます。鉄斎美術館本館では鉄斎の人物画を集めた展覧会の後期展が作品を入れ替えて開催されています。宝塚在住の創作工芸人形日展作家で日本画家、堀之内千恵子さんと桜を愛でつつ前期展を鑑賞、人物画においても多様で多彩な鉄斎の画題と画法に接し、改めてその偉大さに感銘を受けました。

深い知識に裏打ちされた
鉄斎の歴史考証に感服
 春のお茶会を楽しんだ後に鉄斎美術館本館で前期展を観ることができました。鉄斎作品は別館の史料館で観ることはありましたが、やはり、本館での展覧会は見ごたえがあります。
 人物画だけが一堂に集められた鉄斎作品を観るのは初めての機会でした。私も人物を人形作品にしているので、「画道のはじめは人物なり」というように人物表現は絵の基本だと実感します。
 最初に展示されている肖像は鉄斎の人格形成に大きな影響を与えた幕末の女流歌人で陶芸家、大田垣蓮月晩年の肖像。やさしい表情に鉄斎の敬慕の情が感じられます。各地の天皇陵を調査し、著した勤王家・蒲生君平を尊敬していた鉄斎は弔いに訪れた蒲生家で遺像を写し『蒲生君平図』を制作したそうです。歴史考証を元に人物画を描いていることがわかります。
 風俗画の人物は一人ひとりがユーモラスな表情で生き生きとしていて観る人の心を和ませてくれます。
 カラフルな色彩の『勾白字詩七絶』は遊び心が満載。漢字の意味に沿って、植物や人物で表され、鉄斎らしい工夫がみえます。例えば「忠」は中を親、心を子どもの絵で表していて面白い。現代アートにも通じるようでついつい見入ってしまいます。
 鉄斎は敬愛する中国の政治家で文人・蘇東坡の像を多く遺していて、87歳で描いた『東坡閑居図』は粗末な身なりで石に腰掛け川に足を付けて世を達観している東坡を墨と代赭だけで描き、心を打たれました。鉄斎晩年の心境でもあるのではないでしょうか。
 また、医学の祖として崇拝されたヒポクラテスを鉄斎が墨で描いた肖像画にも驚かされました。
 鉄斎は画家を超越した得難い人物だとの思いを新たにいたしました。


堀之内千恵子
1973年~14年間人形美術協会員。伊丹市展、兵庫県工芸美術展入賞、人形美術協会賞など受賞多数。京都・伊丹を始め、宝塚(2023年文化芸術センター)で個展開催。現在、日展会友、伊丹市芸術家協会会員、宝塚アーティスト協会会員

清荒神清澄寺を訪ねて 鉄斎美術館本館「聖光殿」 「鉄斎の人物画―画道のはじめは人物なり―」後期展

鉄斎の人物画
―画道のはじめは人物なり―
会  期:後期4月18日(土)~5月24日(日)
開館時間:10時~16時30分
会  場:鉄斎美術館本館
月曜休館
入場料:一般600円
高大生400円
小中生200円
(65歳以上、障害者手帳提示は半額)

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