清荒神清澄寺には、鉄斎美術館に象徴されるように宗教と美術をひとつに結ぶ鉄斎の平和精神(宗美一体の理念)が受け継がれ、多くの芸術家が訪れている。その中には優れた芸術作品を表した人間国宝(重要無形文化財保持者)である陶芸家の荒川豊藏、金工家の香取正彦、茶の湯釜の角谷一圭や歌舞伎界の人間国宝、三代目尾上多賀之丞が在り、それらの貴重なコレクションが一般公開されている。
先代法主光聰和上は、長く途絶えていた美濃焼の再興に成功した荒川豊藏の作品と人柄に魅せられ、300点もの作品を蒐集し、その中から「志野鶴絵茶碗」や「黄瀬戸茶碗」、そして、魯山人と南鮮の古窯を訪問した時の風景を描いた、との記述がある珍しい「染付朝鮮作陶之図四方鉢」など8作品が展示されている。ほか、清澄寺の密教法具を制作した香取正彦の「虎耳花器」朧銀、「漢委奴国王印」(模刻)、釜師として知られ、天堂に安置されている「三辨宝珠宝鏡」(拓本を展示)を制作した角谷一圭と荒川豊藏の合作による「竹の図平丸釜」などここでしか観ることができない、人間国宝の芸術性溢れる作品を楽しむことができる。
また、美人画で有名な鏑木清方に師事し画を学んだという三代目尾上多賀之丞が描いた「越前かに図」を始め4点の掛軸も展示され、新春にふさわしい美の共演となっている。