清荒神清澄寺先々代法主の光浄和上が文人、富岡鉄斎の作品に流れる宗教心に心酔し、宗教と美術を一つに結ぶ平和精神「宗美一体」の理念を広めるため、作品を蒐集、その作品が境内にある鉄斎美術館で公開され、宝塚の貴重な財産になっているが、和上は画書の蒐集のみならず、昭和17年には自ら発案した「ゑがく鉄斎」という長唄を東京歌舞伎座で上演したという。その時の振り付けが7代目松本幸四郎で、以後二人の親交は深まり、その後、15代目市村羽左衛門、人間国宝の3代目尾上多賀之丞、11代目市川団十郎、13代目片岡仁左衛門等、歌舞伎界との縁は先代光聰和上、現光謙和上まで脈々と続き、清澄寺には名優の隈取や余技と言われる画書などが所蔵され、今回の特別展で展示されることとなった。一方、篤信者でもあった新派の井上正夫から光浄和上宛に送られた絵手紙や井上正夫の弟子で名女優、岡田嘉子の軸、初代水谷八重子の色紙など併せて18点が展示される。