清荒神清澄寺を訪ねて 鉄斎美術館・宝塚市立中央図書館共催により 開催された第10回聖光文庫文化講座

清荒神清澄寺を訪ねて  鉄斎美術館・宝塚市立中央図書館共催により 開催された第10回聖光文庫文化講座昨年12月8日に、恒例となっている聖光文庫文化講座が中央図書館で開催され、「没後100年 富岡鉄斎」展の企画をされた京都国立近代美術館学芸課長の梶岡秀一氏が「富岡鉄斎とやまと絵 篆刻家・羽倉可亭の関係資料とともに」と題し講演。その一部分を紹介します。
開館時間 午前10時〜午後4時30分(入館は4時まで) 入館料 一般300円、高大生200円、小中生100円 (老人、障害者手帳提示の方は各々半額) 宝塚市米谷字清シ1 清荒神清澄寺山内tel.0797-84-9600

昨年、京都・富山・碧南の3か所で
「没後100年 富岡鉄斎」展
講演前半は、京都国立近代美術館で開催され好評を博した「没後100年 富岡鉄斎」について振り返った。名作と評される『富士山図』『青緑山水図』『蓬莱仙境図』を始め、ポスターでも話題となった『妙義山図』などの他、若い頃の作品やあまり知られていない作品に注目し、『秋草図』『群卉競芳図』、椿椿山に学んだ『蔬菓図』、鉄斎の自宅襖絵となっていた岡田為恭の『善無畏図・一行図』などが展示されたのも展覧会の特長。画の他には煎茶皆具や印癖といわれた鉄斎の印章120顆が展示されたことに触れ、「人はすべて一色ではいかぬ。いろいろのものが混じって『まだら』になっているのがよい」という鉄斎の言葉が紹介された。また、展覧会には若い世代や海外からの方が多く訪れたことも報告された。
羽倉可亭の関係資料及び鉄斎のやまと絵
後半には、京都国立近代美術館へ新たに寄贈された羽倉可亭関係資料について語られた。羽倉可亭(1799~1887)は天皇との関わりの深い社家の出でありながら24歳で職を辞し文人として自由に生きた篆刻の大家。可亭の刻した印を鉄斎は愛用しており、51歳の時には可亭の米寿の祝いに招待されている。可亭の息子・南園のためには『群仙図』を描き、墓碑を書すなど二代にわたって親交を深めたことが語られた。『群仙図』は京都国立近代美術館へ寄贈された作品の一つ。
次に、儒学や国学に基づき描かれるやまと絵が紹介された。鉄斎も画題にあわせてやまと絵の技法を用い、楠木正成の妻の庵を描いた『楠妣庵図』や南北朝の戦いを描いた『楠公忠戦図』(右上の図版)などがある。他に、伊勢物語に出てくる蔦の細道を描いた『蘿径秋暮図』や嵐山の亀山に思いを馳せた『嵐山秋楓図』は鉄斎の代表的なやまと絵であるとの解説がなされた。


羽倉可亭が刻し鉄斎が愛用した「学古俗人」印



宝塚市立中央図書館で開催された第10回聖光文庫文化講座で挨拶をする後援者の清荒神清澄寺坂本光謙法主。講演者の梶岡秀一氏

清荒神清澄寺を訪ねて  鉄斎美術館・宝塚市立中央図書館共催により 開催された第10回聖光文庫文化講座

鉄斎―新春を彩る吉祥画―
 初詣で賑わう清荒神。境内の鉄斎美術館別館「史料館」ではお正月にふさわしい、おめでたい画が展示されています。鉄斎が毎年、元旦の床を飾るために描いたという歳朝図も展示されています。
会期 1月21日(火)~3月9日(日)
会場 鉄斎美術館別館 史料館
開館時間:9時30分~16時30分
休館日 月曜 入館無料
※詳しくは美術館ホームページをご覧ください。

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