「朱梅図」や「花鳥図」「鵞図」など名品を間近で鑑賞
初夏を迎えた清荒神清澄寺の境内は、目にも優しい新緑に包まれます。鉄斎美術館別館「史料館」で6月28日から開催される「鉄斎の花鳥画」展では、晩年に制作された花鳥画の名作が展示されます。
近代文人画の巨匠・富岡鉄斎といえば、中国や日本の故事、古典を画題とした自由奔放な水墨画や中国の理想郷を描いた仙境図が思い起こされますが、動植物を描いた花鳥画も多く遺しました。鉄斎の花鳥画は中国から連綿と続く伝統的画題に取材する一方で、江戸後期に隆盛を迎えた本草学、博物学の知識を取り入れ、鉄斎独自の新たな花鳥画を描いています。鉄斎が敬愛した宋代の文人・蘇東坡の画に由来する「朱梅図」や晋代の書家・王羲之が愛したという鵞鳥を描いた「鵞図」など鉄斎ならではの花鳥画の他、手作りの愛らしい「狸香合」なども娯しむことができます。