12月28日まで開催されている開館5周年記念展のテーマは「寿山福海」。寿が山のように高く、福が海のように深いことを意味する言葉で、長寿と福が豊かになることを祝う心が表現されています。その象徴でもある日本人の信仰の対象となっている富士山、多くの芸術家が好んだ題材でもあり、数多くの名作が生み出されています。その中のひとつ、富士山シリーズが高い評価を受け、平成20年に103歳で亡くなった日本画家・片岡球子の「初冠雪の富士」をごく間近に観ることができます。従来の日本画にはない大胆な色使いと型破りな構図で力強い富士を描いた画家としてその名を遺す片岡球子の赤富士は観る者に強い印象で迫ってきます。
また、富士を表した茶器では人間国宝、荒川豊藏の志野焼に奥村土牛が絵付けをした「志野不二山絵茶碗」や楽旦入の「ふし之絵黒茶碗」、永楽善五郎の「掛分不二ノ絵茶碗」など見事な茶碗が展示されています。
その他にも長寿や福に因んだ茶入や香合などの茶器の名品、書では表千家十代家元、吸江斎筆「千年丹頂鶴」と展示のテーマとなっている清澄寺第37世法主光浄和上の「寿山福海居」を鑑賞することができます。