1月4日(日)から3月28日(土)まで開催されている「雪月花―四季の彩り―」は四季を通して自然の美しさを感じることができる清荒神清澄寺にふさわしいテーマといえます。
境内では寒さが和らぐ頃に本堂前の紅白梅が咲き、四月には桜を愛でながら史料館前で野点を楽しみ、新緑の頃は薫風が心地よく、炎暑の季節には鉄斎美術館の右手奥にある龍王滝に涼を求め多くの人が訪れます。そして十一月に入ると山々の紅葉と共に樹齢400年の見事な二本の銀杏や楓が黄や赤に染まり、日本の秋を満喫することができます。また、清澄寺の雪景色も珍しく、その光景が写真パネルで展示されています。
館内では昭和に活躍した洋画家で温かな色遣いに特徴のある脇田和 筆の「花卓」と書家として「鉄斎の書」などの著書がある、野中吟雪 筆「雪月花」書、さらに一年十二カ月に因んだ永楽即全 造の「仁清写十二月茶碗」が展示されています。江戸前期に活躍した京焼の陶工、野々村仁清の作品を写した茶碗は一月の羽子板に始まり、梅、桃、桜、菖蒲、糸巻、菊、紅葉など金をあしらった鮮やかな絵付けが目を楽しませてくれます。中でも、十二月の雪松は地味な色遣いながら日本の美を感じさせる逸品です。
ほかには、すすきの蒔絵が施された三日月形の珍しい香合、菊の螺鈿が美しい大棗、そして、千家十職の袋師・土田友湖による袱紗「染 雪月花」は古色の美しさを味わってほしい作品です。これらの四季に因んだ作品を鑑賞し、「雪月花」を愛でた日本人の悠久の心に触れてみませんか。