清荒神清澄寺 史料館で 「清澄寺史―時代の変遷―」開催中

清荒神清澄寺 史料館で 「清澄寺史―時代の変遷―」開催中

楓が赤く燃え、2本の大銀杏が黄金色に輝く荒神さんの境内では11月16日に秋のお茶会が催され、多くの参拝者が史料館前に設えられた野点席でお茶を楽しみました。史料館では、清澄寺を紹介する展示「清澄寺史」が開催され、平安時代の初めに宇多天皇の勅願寺として創建、兵火による焼失の危機を乗り越え再興を果した清澄寺の歴史を、遺された貴重な資料や仏画、肖像画から知ることができます。

 清澄寺の歴史を紹介する企画として、これまでにも「清澄寺縁起と冥途蘇生記」展、「清澄寺―近世の復興―」展などが開催されましたが、今回は、源平合戦、荒木村重の乱により過去2回の兵火により炎上、焼失の危機を乗り越えた後、江戸期に入り荒廃していた当山が再興し、現在に至る千年余に及ぶ歴史を知る展示となっています。

 一番古いものは、清澄寺住持・慈心坊尊恵上人の蘇生譚で、「平家物語」などに引用されたことで有名になった「冥途蘇生記」(巻子)。尊恵上人の肖像が併せて展示されています。また、創建から南北朝末までの変遷を記した「清澄寺縁起」(巻子)は清澄寺の歴史を知る貴重な史料で、巻頭部には宇多天皇と皇后が同じ霊夢を見、諸仏を勧請し、この地(今の寺域とは異なり谷一つ隔てた東側長尾山上)を選んで開創に至った経緯が記されています。

 特に目を引くのは南北朝時代に描かれた貴重な仏画「不動明王二童子像」。両眼を見開き、身体から猛炎を発し、悪魔、煩悩を掃うために化身した偉力ある像は見逃せません。
 他にも、豊臣秀吉の正室北政所のおばに当る七曲殿が田地三反を寄進した際の天正15年11月23日の日付のある寄進状や江戸末期に諸堂を再建・整備し、寺運を好転に導いた第33世法主露庵和上の肖像画と露庵和上に宛てた江戸末期の思想家・佐久間象山の詩などからは歴史を近くに感じることができます。

 そして、文人・富岡鉄斎とも親交があり、宗教と芸術の融合である「宗美一体」の理念を掲げた第37世法主光浄和上の穏やかな坐像には、今も脈々と受け継がれている立宗の本願を見るようです。





清荒神清澄寺 史料館で 「清澄寺史―時代の変遷―」開催中
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