9月28日まで開催されている史料館の展示「名僧の書画」。
古来より知徳に秀でた僧侶は信仰に根ざした表現として仏像彫刻や仏画あるいは書画を描き、歴史に残る芸術を生み出しています。真言宗の宗祖弘法大師空海は、遣唐使として入唐、僅か2年間に膨大な経典を学び書写したことで知られ、その卓越した書は我が国の三筆(嵯峨天皇、橘逸勢)と言われています。書家としても多くの作品を遺す鉄斎が「今、弘法大師がおられたらワシと書道の話しが合うじゃろうが!」と語ったという逸話も残っています。ここでは、限定200部(複製)で作られた仁和寺に遺る空海筆の「三十帖策子」を見ることができます。
また、奈良宝山寺を再興させた江戸初期の僧で、唐招提寺や法隆寺(西円堂)にも仏像を遺している湛海81歳の仏画「不動明王尊像」は迫力満点です。
江戸後期の僧、慈雲筆「大海随魚躍・長空任鳥飛」やすぐれた梵字の書を遺した江戸初期の僧、澄禅筆「理趣経段之種子」の他、清澄寺先々代法主光浄和上93歳の書「龍華」や昭和を代表する書家、森田子龍に師事した先代法主光聰和上の書も展示され、歴史的にも貴重な書画が楽しめる史料館ならではの展示となっています。