新しい年を愛でる鉄斎の吉祥画
吉祥画は中国から日本にもたらされた画の分野で、子孫繁栄、立身出世、不老長寿などの寓意が込められた動植物や仙人が住む仙境等を画題としたおめでたい絵として知られています。
鉄斎も新年や嘉寿を祝う吉祥画を数多く描き知友に贈っています。
吉祥画の始まりは音による語呂合わせが中国で大変発達し、良い意味に通じる同音の別字に置き換えて縁起を担ぎ、吉祥の句を表したことによると言われています。
日本では元旦を迎えるたびに歳を加える数え年が用いられ、正月には新たな年を迎えられた喜びと長寿を願う吉祥画が床を彩りました。鉄斎も元旦の床を飾るために、歳朝図などおめでたい画題を毎年描きました。
展示作品の『椿石霊鳥図』(左上の写真)は縁起が良いとされる椿石や霊芝などが描かれ、『鼇負蓬莱図』(左下)は霊亀が背負っていた蓬莱山に仙人が棲むという逸話を画題にしています。令和7年の幕開けは鉄斎の吉祥画で。
市立図書館内、聖光文庫で「本づくりの世界」テーマに2月11日まで企画展開催
日本の本づくりは奈良時代以降、中国から伝来した紙や印刷・製本技術によって発展しましたが、平安時代までは写本が主流で、鎌倉室町時代に木版印刷が普及、江戸時代に入って豊かな出版文化が生まれました。近代文人画の巨匠富岡鉄斎(1836~1924)は和漢の書物を蒐集し読破したことで知られますが、漢籍を和訳したほか、著書『称呼私弁』などを出版しています。著書及びその版木などを始め、等伯画説や日本最古の類書の複製など愛蔵品が展示され本の印刷技術と体裁の魅力を探ることができます。
椿石霊鳥図 明治40年
「鉄斎ー器玩にみる交遊録ー」
鼇負蓬莱図 大正10年
鉄斎美術館・市立中央図書館聖光文庫共催
「本づくりの世界―
富岡文庫と鉄斎の著作・画集を中心に―」
会期 12月8日(日)~2月11日(火祝)
会場 宝塚市立中央図書館 聖光文庫
開館時間 10時~17時 入場無料
休館日 水曜・第2金曜・年末年始
「鉄斎 ―新春を彩る吉祥画―(仮)」
会期 1月21日(火)~3月9日(日)
会場 鉄斎美術館別館 史料館
開館時間 9時30分~16時30分
休館日 月曜・展示替期間 入館無料
※詳しくは美術館ホームページをご覧ください。