〜12月17日「鉄斎―器玩にみる交遊録―」
器玩とは主に工芸品を表しますが、鉄斎は煎茶を嗜んでいたことから茶道具が多く、前期展(~10月29日)では交流が深かった初代諏訪蘇山や清水六兵衞の菓子鉢に鉄斎が絵付けした作品、指物では印箪笥の前面に君子蘭などが大胆に描かれた作品が目を引き、鉄斎と名工の交遊の深さと信頼関係を感じさせてくれます。
手捻りを嗜んでいた鉄斎夫人の春子さんが制作した茶碗に鉄斎がユーモラスなタヌキを絵付けした『狸絵捏茶碗』からは合作を楽しんでいた様子がうかがえます。
壁面には鉄斎が交流のあった人物に贈った作品が展示され、交流の広さを物語っています。色彩が鮮やかな『群仙翫瓢図』は仙人が自慢の瓢箪を持ち寄って品評する画。尊敬する日本画家・岸竹堂に贈られました。『慈能制猛図』には篆刻家・桑名鉄城が刻した「豪生佛堂」の印が捺さていますが、篆刻のお礼に鉄斎が贈ったとされています。
一流の工芸家との合作から鉄斎の交遊を垣間見ることができる展覧会となっています。
~11月24日「没後100年 富岡鉄斎」
没後100年に当たる今年は京都国立近代美術館、続いて富山県水墨美術館で巡回展が開催され、最後になる10月5日~11月24日は愛知県にある碧南市藤井達吉現代美術館で「没後100年 富岡鉄斎」展が開催されています。
鉄斎美術館所蔵作品からは『福禄寿図』『華之世界図』など多数が出品され、他に京都国立近代美術館、布施美術館の所蔵作品などを通して最後の文人とされる鉄斎の画業と生涯を回顧し、また鉄斎が愛用した文房具や筆録から日常を垣間見ることができる没後100年にふさわしい展覧会になっています。
「鉄斎ー器玩にみる交遊録ー」
会場風景