鉄斎は国内外を選ばず、異製品に会えば必ず試してみるほどの墨筆紙癖
近代文人画の巨匠・富岡鉄斎(1836~1924)は、「墨に五彩あり」の言葉どおり、墨の濃淡、潤滑を自在にあやつり、表情豊かな水墨画を多く描いています。
「墨を選んで苦心、墨顛(墨に心を奪われる人)となる」というほど、書画に適した上質な墨にこだわり、さまざまな和墨や唐墨をもとめ、画題に応じた墨を用いました。
三十二歳の時に描いた抽象画にも見える「層曫雨霽図」は濃墨を指で描くという手法に挑戦した山水画です。晩年まで好奇心を持ち続けた鉄斎は八十九歳で鼠髭の筆を試し「蘇斜川図」を描いています。また、八十八歳で描いた「朱梅図」は大胆な運筆と墨の濃淡が美しい名品。
鉄斎の文房具、画材へのこだわりが窺える作品が集められた「鉄斎―筆墨の妙―」展では、墨や筆、硯、紙にも注目し、作品を楽しんではいかがでしょうか。
「鉄斎―筆墨の妙―」
会期 前期 ~3月15日(火)
後期 3月24日(木)~5月3日(火・祝)
会場 鉄斎美術館別館史料館
開館時間 9時30分~16時30分(入館無料)
休館日 水曜日
※会期・開館時間は変更となる場合があります。
詳しくは美術館ホームページをご覧ください。