文人がこだわる文房具、筆墨硯紙「文房四宝」
多癖で知られる鉄斎は筆録・無用の用の中で「余、墨筆紙癖あり。海の内外を択ばず。異製品に遇えば必ずこれを試験す」と述べているように、文具へのこだわりも強く、種々の筆や墨、紙をはじめ硯にいたるまで多くの愛玩品が遺されています。中国文人の必需品といわれる「文房四宝」に因み1月27日から「鉄斎と文房四宝」(仮称)が開催されます。
展示されている掛軸『蘇斜川図』(89歳筆)は「鼠鬚筆を試して、この絵を描いた」と記され、鉄斎の画材に対する好奇心と徹底したこだわりをうかがうことができます。『松竹梅霊芝絵料紙硯箱』には硯箱いっぱいに松竹梅が描かれ鉄斎ならではの奔放な筆遣いに驚かされます。
9月22日から12月20日まで予定されている「鉄斎の旅」(仮称)では「万巻の書を読み、万里の路を行く」を座右の銘とした鉄斎が描いた、日本の美しい風景を味わうことができ、69歳で描いた名作『名所十二景図』六曲一双の屏風などが展示されます。
名所十二景図(六曲一双・右隻) 明治29年
朝晴雪図 大正8年
松竹梅霊芝絵料紙硯箱 大正4年(中島菊斎作・富岡鉄斎絵)
蘇斜川図 大正13年