境内にある大銀杏がたわわに実をつけ、葉が色づき始めた清荒神清澄寺。鉄斎美術館 別館「史料館」では秋季展(後期展)が12月17日まで開催されています。鉄斎は陶芸家、篆刻家、木工工芸家など名工と合作の作品も多く、交友関係も多彩でした。 書家でガラス作家とのコラボ作品を発表している佐藤篁心さんと前期展を鑑賞、鉄斎の多彩な交遊録を楽しみました。
鉄斎の筆はのびやかで悠然
鉄斎美術館や史料館で何度か鉄斎作品を見せていただいてましたが、器玩展は初めてでしたので名工との合作を興味深く拝見しました。
陶工・初代諏訪蘇山との合作『高遊外詩画染付菓子鉢』は白磁の菓子鉢に、藍で絵付けした作品で、茶祖といわれる売茶翁高遊外にまつわる詩画が迷いのない筆で描かれています。交流のあった洋画家・正宗得三郎に贈られたといわれる『盆蘭図』は洋画の要素も見られる大胆な構図でとても印象に残りました(佐藤さんの右の作品)。木工師との合作『四君子絵器局』は全面に蘭、竹、菊、梅の絵と力強い書が描かれていてとても色鮮やか。中島菊斎との合作、四君子絵桐茶壷も繊細な対の茶壷に美しい四君子が描かれ、二人のやりとりが聞こえてくるようです。後期展にも中島菊斎との合作の器局が展示されるそうです。
私はガラス作家のオブジェに墨書するガラス書を発表していますが、紙に書くのとは違って、かなりの緊張感を伴います。
鉄斎には緊張感が全く感じられず、楽しんで奔放に描いていることが合作からうかがえます。
鉄斎の書は文字の大小、線の太さ、はらいに至るまで自由で画のようです。鉄斎独特の右下がりの文字が巧みなバランスで作品に収まっているのは流石としか言いようがありません。鉄斎の作品がいつまで見ていても飽きないのは技法に囚われない自由奔放な画だからでしょう。
鉄斎―器玩にみる交遊録―
会期:後期11月7日(木)~12月17日(火)
会場:鉄斎美術館別館「史料館」
開館時間:9時30分~16時30分(無料)
休館:水曜日 展示替期間