清荒神を訪ねて 鉄斎美術館別館史料館 蓮月没後150年「鉄斎が敬慕した大田垣蓮月」 9月16日~10月26日開催

清荒神を訪ねて 鉄斎美術館別館史料館 蓮月没後150年「鉄斎が敬慕した大田垣蓮月」 9月16日~10月26日開催

 2025年は鉄斎美術館開館50周年記念として6年ぶりに鉄斎美術館で春季展が開催され、11月11日からは秋季展も企画されます。別館史料館でも2025年の幕開けには「鉄斎―新春を彩る吉祥画―」が開催され、9月16日からは歌人で陶芸家の大田垣蓮月没後150年にちなみ、鉄斎との合作を中心に展示されます。若き鉄斎が蓮月を敬慕し、多大な影響を受けたことは知られるところです。歌人として陶芸家として、そして女性として信念をもって85歳まで生き抜いた蓮月を鉄斎がいかに尊敬し、追慕したかを作品と筆録が語っています。

蓮月への深い敬慕の念を持ち続けた鉄斎
蓮月没後150年の節目に「鉄斎が敬慕した大田垣蓮月」が開催されます。2020年の鉄斎美術館開館45周年記念には別館で「蓮月と鉄斎」展が開催され、鉄斎との合作を始め、蓮月の和歌が彫られた蓮月焼などが展示されました。この度の展示には蓮月との合作の他、鉄斎が蓮月への追慕の情を生涯持ち続けたことがうかがえる作品や大田垣家の履歴を記した鉄斎の筆録、蓮月が陶芸に使ったろくろや和歌を彫るための道具など遺愛品も展示されます。
鉄斎は20歳頃に縁あって、歌人、陶芸家として名を馳せていた尼僧・大田垣蓮月の下に、学僕としてはいり、約1年間住まいを共にしました。既に65歳になっていた蓮月の陶芸や身の回りを手伝うなかで、蓮月の清廉で質素な暮らし振りや地域への慈善活動など、その生き方に接します。鉄斎の生涯に多大な影響を与えたことはいうまでもありません。
そして、後に鉄斎は荒廃した神社への寄進や復興、貧しい者への寄付などを行いました。
会場には、蓮月との合作6点(軸)が展示されますが、和歌の名手であった蓮月が自作和歌を書し、そこに鉄斎が画を添えることで、生業の一助になるよう配慮したと思われます。蓮月77歳の和歌「ふりたてし まめし心の 一すぢに こゆるかいもに あすさかのせき」には『奴図』が描かれています。
また、鉄斎は蓮月が没してからも追慕の念を持ち続け、蓮月が3月3日に詠んだ和歌短冊に、桃花図を添えた作品等を遺しています。「蓮月焼」といわれ人気を博した手捻りの急須や徳利なども展示されます。今回は展示されませんが、鉄斎が描いた最晩年の蓮月尼の肖像(右上の図版、鉄斎美術館寄託)は貴重な歴史の記録ともいえるものです。
作品を通して蓮月と鉄斎、二人の崇高な精神に触れることができる展覧会です。


大田垣蓮月肖像 1877年 42歳
大田垣蓮月
1791年京都に生まれ、生後まもなく大田垣光古の養女となる。1807年に結婚したが25歳で死別、再婚するも死別し、33歳で出家して蓮月と号す。移り住んだ岡崎では陶芸で生計。和歌を彫った「蓮月焼」が人気を博す。晩年には富岡鉄斎を学僕として迎え、若き鉄斎の人格形成に大きな影響を与える。和歌に鉄斎が画を添えた合作を遺している。1875年西賀茂にて85歳で没す。


小急須 明治初期 大田垣蓮月作・富岡鉄斎箱

清荒神を訪ねて 鉄斎美術館別館史料館 蓮月没後150年「鉄斎が敬慕した大田垣蓮月」 9月16日~10月26日開催

蓮月没後150年 鉄斎が敬慕した大田垣蓮月
会期:9月16日(火)~10月26日(日)
開館時間:9時30分~16時30分
会場:鉄斎美術館別館史料館 入場無料
休館:月曜日(但し10月13日は開館、翌14日休館)

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