清荒神清澄寺を訪ねて 鉄斎美術館開館五十周年記念 ~5月4日 「鉄斎の画業七十年― 画を以て法を説く ―」

清荒神清澄寺を訪ねて  鉄斎美術館開館五十周年記念 ~5月4日 「鉄斎の画業七十年― 画を以て法を説く ―」

 桜がほころび暖かくなった清荒神清澄寺の境内で4月6日には春のお茶会が催され、多くの参拝者が史料館前の野点席でお茶を楽しみました。4月1日からは鉄斎美術館本館が約6年ぶりに開館し、開館50周年を記念する展覧会が始まり、鉄斎の若い頃から晩年まで、各年代の貴重な作品を観ることができます。  細里わか奈学芸員にギャラリートーク形式で作品について伺いました。

各年代の代表作が一堂に。
編集:清荒神清澄寺が蒐集する富岡鉄斎(1836~1924)の作品を広く一般に公開するため1975年に鉄斎美術館が開館。以来、興味深い企画展が開催されてきました。開館五十周年記念展に期待が高まります。
細里:史料館では展示できなかった六曲一双屏風や大きな掛幅なども本展では展示しますので、鉄斎の70年に及ぶ画業を堪能していただけるのではないかと思います。
 19歳の作品「雉子図」(摸写)から最晩年を示す九十落款のある「瀛洲僊境図」まで、約40点を年代順に展示しています。
 29歳の「烟霞幽情図」は若い頃の作品ですが、鉄斎が理想の境地とし、晩年まで画題とした文人の生き方が、既にこの画にも描かれています。賛には「隠遁して竹林に住み静かな趣を愛す」という意の自作の詩が添えられ、淡墨が美しい作品です。
 王羲之の蘭亭序を賛にした彩色の美しい名品「蘭亭曲水図」は49歳の作品です。鉄斎は50歳~60歳代に日本の歴史や古典を学び、伝統行事を見聞、56歳の作品「山上憶良貧窮問答歌図」は貧窮する庶民の苦しみを詠んだ万葉歌人、憶良の歌を大和絵風に描いています。
 77歳で描いた六曲一双屏風「青緑山水図」は名品「富士山図」にも匹敵する代表作、色彩にも注目して見ていただきたい作品です。
 サブタイトルの「画を以て法を説く」は鉄斎が愛用した印章ですが、鉄斎の画には必ず深い意味が込められています。81歳の作品「十牛図意図」には禅の教えが、85歳の作品「寒山拾得図」には儒教の教えが込められています。
編集:鉄斎が70年間に描いた多種多様な画が一堂に鑑賞できる貴重な開館50周年記念展は見逃せません。


烟霞幽情図 1864年 29歳


山上憶良貧窮問答歌図
1891年 56歳

清荒神清澄寺を訪ねて  鉄斎美術館開館五十周年記念 ~5月4日 「鉄斎の画業七十年― 画を以て法を説く ―」

会  期:~5月4日(日)
開館時間:10時~16時30分(入館は16時)
休館日:月曜日
入館料:一般600円、高大生400円、小中生200円
*老人・障害者手帳提示の方、各々半額

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