清荒神清澄寺を訪ねて  鉄斎美術館別館「史料館」 「鉄斎―新春を彩る吉祥画―」 3月9日まで開催中

清荒神清澄寺を訪ねて  鉄斎美術館別館「史料館」 「鉄斎―新春を彩る吉祥画―」 3月9日まで開催中

令和7年の幕が開き、1月は新年初詣、2月2日は星祭(節分)の参詣者で大いに賑わいをみせた清荒神清澄寺。2月18日には宝稲荷社で二の午祭が執り行われます。境内の鉄斎美術館別館史料館では現在、新春にふさわしい、吉祥画題を描いた作品の展覧会が開催されています。八十歳を過ぎても衰えることのない力強い筆で描かれた吉祥画を観ると、長寿だった鉄斎から福を授かるような気がします。

鉄斎の画から慶びの心が伝わってくる
日本最後の文人と謳われる富岡鉄斎。吉祥画といえば不老長寿の仙人が棲むという理想郷を描いた仙境図が知られるところですが、鉄斎は新しい年を祝う床に飾られる吉祥画や長寿を尊び嘉寿を祝う吉祥画も多く描き知友に贈っています。数え87歳を迎える正月に描き、床を彩った『歳朝図』は縁起の良い「百事大吉」を画題に百は百合根、事は音を踏む柿、吉は橘、そして春の魁として梅が描かれています。展示作品の中でも目を引くのは金砂子の地に描かれた衝立『椿石霊長図』。八千年に一度咲くといわれる大椿と西王母の遣いの美しい霊鳥、不老長寿を意味する石と霊芝が美しい色彩と力強い筆で描かれ存在感を示しています。一時期、本品の複製(刺繍)が祇園祭の橋弁慶山の前懸に使用されました。
花鳥画の吉祥画題としてよく描かれる『歳寒二雅図』。二雅は竹と梅を表しますが、鉄斎は梅と水仙と霊芝を描き、三雅になっています。それも鉄斎らしいといえるのかもしれません。
花鳥画の他、仙境図としては霊亀が甲羅に蓬莱山を背負い、そこには仙人が棲むという『鼈負蓬莱図』が展示されています。
正月の二日に枕の下に宝船の絵を敷いて寝ると縁起の良い初夢が見られるといわれますが、鉄斎も画題としてよく描き、米寿を迎える歳の書初めに描いた『宝来図』を観ることができます。七福神が楽器や囲碁に興じている大津絵風のひょうきんな人物描写が楽しい『七福遊戯図』のほか中島菊斎との合作で鉄斎89歳の作品『宝珠絵槌』や金地に松と梅が描かれた対の祝慶扇も展示され、新年の慶びが観る者に伝わってくるようです。


椿石霊長図 明治40年


会場右手には『歳朝図』『椿石霊長図』などが展示されている

清荒神清澄寺を訪ねて  鉄斎美術館別館「史料館」 「鉄斎―新春を彩る吉祥画―」 3月9日まで開催中

鉄斎―新春を彩る吉祥画―
会  期 ~3月9日(日)
会  場 鉄斎美術館別館 史料館
開館時間 9時30分~16時30分
休館日 月曜 入場無料
*詳しくは美術館ホームページをご覧ください

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