清荒神清澄寺を訪ねて 鉄斎美術館 別館 史料館 4月4日より「鉄斎の九十歳落款」展開催

清荒神清澄寺を訪ねて 鉄斎美術館 別館 史料館 4月4日より「鉄斎の九十歳落款」展開催

 2021年4月に開催予定だった「鉄斎の九十歳落款」展。コロナの影響で閉館を余儀なくされ、後期展を観ることが叶いませんでしたが、この度4月4日より春季展として開催することになりました。  長寿を全うし、大正13年12月31日に数え89歳で没した近代文人画の巨匠・富岡鉄斎(1836~1924)が落款に「九十」を記した作品が集められています。その作品の中には大正14年の正月掛け用に描いた「瀛洲僊境図」があり、数え90歳の正月を迎えるつもりであったことが伺えます。最晩年とは思えない勢いある筆の作品を清荒神清澄寺境内にある鉄斎美術館別館「史料館」で体感してみませんか。

年齢による衰えを微塵も感じない作品

 天保7年12月19日に生まれた鉄斎は数え89歳になる大正13年の夏頃から落款に「九十叟」あるいは「九十翁」などと記し、それらの作品は「九十落款」といわれ、長寿を旨とし慶びとした文人鉄斎の理想を作品に見ることが出来ます。
 絶筆とされるのは宋の隠遁者で90歳まで生きた栄啓期を描いた「栄啓期図」とされていますが(清荒神清澄寺鉄斎美術館寄託)、大正13年に描かれた作品には仙境図の名品「蓬莱山図」や岩に寄り添うように咲く牡丹を描いた花鳥画の名品「富而不驕図」があり、老年を感じさせない雄渾な筆致、融通無碍な墨色、鮮やかな彩色には目を見張るものがあります。若々しいエネルギッシュな生命力すら感じられます。
 鉄斎は画壇に属さず、師を持つこともなく、自身は学者を自認しています。若き頃は、歌人の大田垣連月に多大な影響を受け、中国や日本の故事、逸話に学び、明の文人画家・董其昌の「万巻の書を読み、万里の路を往く」を座右の銘とし北海道から鹿児島までを見聞、学者として知識を蓄積するとともに、表現者として多くの画を描き遺しました。最晩年の貴重な画を通して、鉄斎が至った自在の境地に触れることが出来る展覧会です。



富而不驕図

清荒神清澄寺を訪ねて 鉄斎美術館 別館 史料館 4月4日より「鉄斎の九十歳落款」展開催

鉄斎の九十歳落款
会  期 4月4日~7月9日
     ※展示替えあり
会  場 鉄斎美術館別館史料館
開館時間 9時30分~16時30分(無料) 
休  館 水曜 展示替期間

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