清荒神清澄寺を訪ねて 鉄斎美術館別館史料館 1月26日から「鉄斎―山水に遊ぶ―(仮)」展 開催

清荒神清澄寺を訪ねて 鉄斎美術館別館史料館 1月26日から「鉄斎―山水に遊ぶ―(仮)」展 開催

 正月三が日は大般若経転読法要が天堂拝殿で執り行われ、初詣の参拝で賑わう清荒神清澄寺。 大勢の僧侶が一斉に大般若経六百巻を転読し、五穀豊穣と除災招福を祈る法要で、堂内は読経が響き、厳かな空気に包まれます。  境内にある鉄斎美術館別館「史料館」の令和5年の幕開けは「鉄斎―山水に遊ぶ―」がテーマ。鉄斎は多彩なジャンルの画を描いたことで知られますが、中でも仙境図を始め、多くの山水画を遺しています。中国文人たちが憧れた理想郷である仙境は、鉄斎数え89歳の生涯の最も大きい主題になっているといえます。展覧会では山水画の極みともいえる仙境図の名品をじっくり観ることができます。

画の中に入っていきたくなる鉄斎の仙境図

 自然の風景やその中に溶け込む人物、庵を描く山水画。中国・明の文人薫其昌は「万巻の書を読み、万里の路を行き、胸中より塵濁を脱去すれば、自然、丘壡、内に営まれ、鄞鄂(輪郭、形)を成す。手に髄って写生すれば皆山水の伝神たらん」という言葉を遺し、この語を座右の銘とした鉄斎は若いころから最晩年に至るまで数多くの山水画を描いています。それは日本の風景に始まり、中国の文人画に学んだ、桃源郷や蓬莱山など仙人が住むと言われる理想郷を描いた仙境図まで多様な作品となって遺されています。
 富士登山から帰洛後に詠んだ自作詩には「下界は夏の真っ盛りであるが、私が富士山の絶頂でただ一人風に乗って、ちょっとした仙人になっていることを誰が知っていようぞ」とあり、富士にも仙境を見ていたことが窺えます。89歳で描いた『梅華書屋図』は無数の梅樹と巨岩が中央の茅葺の庵を包みこむように構成され現世の仙境と評されるほどに幻想的な作品です。また、大正13年大晦日に没する直前、正月掛け用として描いた『扶桑神境図』は墨のかすれを自在に使った力強く大胆な筆致で老齢を全く感じさせません。落款に「九十叟 鉄斎」と署し、90歳の新年を迎える喜びが伝わってくる名品といえます。


扶桑神境図 大正13年(89歳)

清荒神清澄寺を訪ねて 鉄斎美術館別館史料館 1月26日から「鉄斎―山水に遊ぶ―(仮)」展 開催

鉄斎―山水に遊ぶ―(仮)
会場 鉄斎美術館別館 史料館
会期 前期 1月26日(木)~3月14日(火)
   後期 3月23日(木)~5月2日(火)
開館時間 9時30分~16時30分(無料)
休館日 水曜
*会期・開館時間は変更となる場合があります。
 詳しくは美術館ホームページをご覧ください。

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