近代文人画の巨匠富岡鉄斎(1836-1924)の作品を収蔵、公開、展示する専門美術館として清荒神清澄寺山内に1975年、開館した「鉄斎美術館」。宝塚市唯一の美術館であり、宗美一体を理想とした先々代光浄和上の遺志は先代の光聰和上から当代の光謙和上に受け継がれています。今年は開館45周年記念展が企画され、現在はその掉尾を飾る「蓮月と鉄斎」展が12月22日まで別館史料館で開催されています。
約2000点以上の作品・資料を収蔵する鉄斎美術館は正面に「聖光殿」の扁額を掲げ、落ち着きある佇まいを見せ、春には淡墨桜が見事に咲き訪れる人を楽しませてくれます。特定の師を持たず独自の画境をひらいた鉄斎が多様な画法と多彩な画題で画いた作品を幅広く紹介するさまざまな企画展が催され、書画の名品をはじめ、器玩や書簡、鉄斎の筆録・旧蔵資料などが展示されてきました。鉄斎芸術を広く紹介するため、開館前より海外で清荒神コレクションによる鉄斎展が開催され、開館後には中国、ベルギーで開催されました。
また、作品蒐集のみならず賛文解読などの鉄斎研究が進められ、近年では膨大な鉄斎旧蔵資料も注目されています。2019年からは本館「聖光殿」の休館のため、同じく清荒神清澄寺境内にある鉄斎美術館別館史料館で、鉄斎展が開催されています。江戸時代初期~中期に作成されたといわれる池苑と自然の緑に囲まれた静寂な環境で、作品を鑑賞することができます。12月22日までは「蓮月と鉄斎」展が開催され、女流歌人で「蓮月焼」でも知られる大田垣蓮月尼と鉄斎の合作などが展示されています。
史料館/作品を間近かに観ることができる
桃花図 大田垣蓮月短冊貼交 1920年 富岡鉄斎筆
小急須 大田垣蓮月作 箱書:富岡鉄斎筆
1975年開館式テープカット 左から友金宝塚市長、先代光聰和上、富岡益太郎初代館長
1986年北京と上海で鉄斎展が開催された
煎茶図 大田垣蓮月歌賛 1866年 富岡鉄斎筆
1989年ベルギーで鉄斎展が開催された時のポスター