宝塚市立中央図書館内に併設されている聖光文庫では12月8日から2020年2月9日まで、「京都画壇と鉄斎」展が開催され、初日の12月8日には年末恒例となっている「聖光文庫文化講座」2講座が中央図書館2階集会室で開かれます。
鉄斎を深く知る共催展と講演会
鉄斎美術館と宝塚市立中央図書館聖光文庫の共催で行われる企画展「京都画壇と鉄斎―富岡鉄斎旧蔵資料を中心に―」は、画壇や流派に属さず、独自の画風を構築した鉄斎が、京都画壇を継承する円山派や四条派の小田海僊、幸野楳嶺、今尾景年、竹内栖鳳らとも交流し、京都画壇とも関わりを持っていたことがわかる鉄斎旧蔵の作品や資料などが展示されます。鉄斎は江戸後期の南画家・小田海僊から南画を学んだといわれ、海僊の模写本も見ることができます。京都に生まれ育った鉄斎は、京都の発展に心を砕き、京都青年絵画研究会や京都市美術学校(現京都市立芸術大学)では歴史や古典などを講じています。
共催展初日には2講座が午後1時45分からあり、講座終了後には聖光文庫を鑑賞することができます。1講目は書の歴史研究家で書家であり筆跡鑑定の分野でも知られる魚住和晃氏が「中国書法史から見た鉄斎の書法」と題して、画としてはもとより書の分野でも評価の高い鉄斎の書について、中国の甲骨文字から始まる書の歴史をベースに読み解きます。2講目は共催展の内容にも通じる「円山四条派が主流の京都画壇の中での鉄斎」を京都市立芸術大学教授の田島達也氏が講演、京都画壇との関わりの一端をひもときます。
大正5年(1916)11月15日、京都市公会堂で皇居御前揮毫記念に撮影された。鉄斎の他、竹内栖鳳、上村松園らの顔も見える。