
発行日 2025年7月29日
著 者 倉橋滋樹
発行所 あさひ高速印刷株式会社
製本印刷 あさひ高速印刷株式会社
四六判 220ページ
定 価 1600円+税
*宝塚市文化芸術センター1Fこむの事業所で販売
宝塚市の特異性が貴重な資料とともに語られる
宝塚市職員として43年間勤め、主に広報、文化関係の部署に携わり、宝塚市の成り立ちや文化に関心を寄せ、阪急電鉄や宝塚歌劇、その生みの親・小林一三などにまつわる歴史をライフワークとし、定年後は執筆活動に取り組んでいる倉橋滋樹さん。
昨年、7月に出版された明治・大正・昭和の宝塚年代記「TAKARAZUKA chronicle」の表紙は阪神急行電鉄当時のユニークなキャッチコピーの広告、裏表紙には今はなき劇場の建物がレイアウトされ、時代の空気が伝わってくる。
まえがきで「絵に描いたようなことが、絵に描いたように実現していった街が宝塚といえよう」と述べ、本書には街の特異性が綴られている。
倉橋さんは当時の大阪時事新報、大阪毎日、大阪朝日など膨大な新聞記事をデータベース化し、時系列で宝塚市誕生までの特異な経緯を読み解いている。
第一章の明治では、主に阪急電鉄誕生までの変遷が小林一三の登場と共に紹介され、第二章の大正は、日本の演劇の生みの親ともいえる川上音二郎の功績から始まり、小林一三が創設することになる、宝塚歌劇へと繋がる経緯を考察していて興味深い。
第三章の昭和では宝塚市が合併により昭和29年に誕生するまでが詳細に述べられ、明治20年に開湯した宝塚温泉が阪鶴鉄道、続いて箕面有馬電気軌道(現在の阪急電鉄)の駅名に冠され、宝塚新温泉、宝塚歌劇、宝塚ホテルの名称となり、紆余曲折を経て宝塚町から宝塚市となるまでの変遷を辿ることができる。初代宝塚市長候補に市民は小林一三を望んでいた、という新聞記事や川上音二郎が大阪北浜に完成させた「帝国座」の貴重な写真なども収録されていて、宝塚市の成り立ちを知る上で必読の一冊といえる。