発行日 2010年12月
著 者 南天句会
印刷・製本 あさひ高速印刷株式会社
南天句会を主宰する丹生さんは、古典文学を教えていた講座で俳句も指導してほしいという声に押されて昭和63年冬から月1回、句会を開いてきた。門脇に南天がたわわに実をつけていたことから句会は「南天」と名づけられ、句集の序文には、「南天の赤を目あてに訪ね来よ」の句が添えられている。
丹生さんが俳句に関心を持ったのは学生時代、国文科の教材にあった「芭蕉俳諧七部集」。初めて投句した俳句会の選者だった俳誌「京鹿子」の主宰者、鈴鹿野風呂氏の俳句に共感、指導を仰ぎ、以来65年余り俳句を人生の友としてきた。そして、自ら指導する「南天句会」が昨冬20周年を迎え、句友5名と共に合同句集を発行することになった。
「南天句会」は古典に親しむ主婦が中心とあって、俳句を極めるというより、楽しむのが目的で、俳誌を出すこともなく、句集を作ることなど考えていなかったそうだが、句友の一人、山本さんが娘さんに勧められ、句会に提案したところ合同句集なら、と発行への意欲が高まった。山本みどりさんが制作を手伝い、選句の作業と原稿執筆に約3ヵ月、校正に2ヵ月をかけ、約半年で四六判、100頁の句集が出来上がることに。
句友は、日々の暮らしを詠み、俳句手帳が6冊目になったという20年目の久山允子さん、これからは吟行にも参加したいという4年目の水谷直子さん、紙と鉛筆だけで句作出来るのも魅力という15年目の南千鶴子さん、退職後俳句を始め、視野がひろがったという17年目の安田冨士子さん、俳句があたかも日記のようという20年目の山本明美さん。
それぞれの生活風景や四季が彩られた句は、温かで親しみやすい。
白の表紙になんてん色の題字、見返しの赤が南天句会20周年を祝っているかのような句集にはそれぞれの人生が詰まっているようである。