2009年6月発行
著者 森本浩
印刷 あさひ高速印刷株式会社
180×175 70ページ 上製本
東京帝国大学医学部薬学科を卒業し、武田薬品工業株式会社化学研究所長を務め、神戸学院大学教授として教鞭をとっていた森本浩さんが、忙しい仕事のかたわら、版画作品の年賀状を送りはじめてから約50年になる。庭で育てた花や、散歩の途中で見つけた植物をスケッチし、彫る作業を楽しみながら賛を思いめぐらし作品にしたてた。毎年知人の目を楽しませている版画の年賀状も、気がついたらいつの間にかたまり、今一度作品に光をあてて多くの人に見てもらおうと、「華版画」を出版することになった。
いつでも手にとって開きやすいサイズの冊子は、見開きの左頁には花を、色刷りの右頁には自作の賛を明朝体の白抜き文字でバランスよく配した。装丁にも凝り、4種類ある刷り色は編集者と思考錯誤を繰り返し、紙質にもこだわったので、当初の予定より仕上がりは少し遅れたが、若い人からもセンスがいいと評判のお洒落な版画集となっている。
「一九九八年の『朝顔』から二〇〇九年の『木蓮』までの十二年間三十一枚の画と賛には、これらの花にかかわったときのさまざまな思い出がある」とあとがきで語る森本さん、米寿を迎え、これからも花を愛でながら作品制作に意欲的である。