「彷徨40年 テレビ・古代史・クラシック」
発行 平成19年4月9日
著者 鳥羽郁夫
発行者 高岡幸弘
発行所 株式会社宝塚出版
印刷所 あさひ高速印刷株式会社
四六判212ページ並製本
「彷徨40年」の表紙は雲をバックにノスタルジックなテレビが浮び、裏表紙には著者・鳥羽さんの故郷の安曇野の写真。テレビ放送とふるさと信州への愛着を感じさせ懐かしい情景をかもしだす。
まだテレビの「揺籃期ようらんき」ともいえる1967年、鳥羽さんは読売テレビへ入社した。報道部に配属されニュースの取材に走り回り、映像の力にテレビの大きな可能性を見つけた。シリアスなドキュメンタリーをスタートに、歴史や文化の教養ドキュメント、政治経済のトーク番組などの制作を経て、2002年より社内報の編集を担当することに。60歳の定年を跨いで、原稿集めから編集、校正まですべて一人でこなす鳥羽さんは、編集後記に四季折々の随想を執筆し社内で好評を博す。そして、社報後記を中心に長年書きためた文章を整理して一冊の本にまとめあげた。
「彷徨40年」はどこからでも読みすすむことができ、鳥羽さんが訪れた演奏会の感想や時事問題などひとつのテーマにしぼって書かれた編集後記の他、音楽ドキュメンタリーや古代史番組作りの裏側がつづられていて興味深い。
番組を通じて様々なところで出会い接点のあった人たちにできあがった本を送ったところ、大きな反響があったという。昔を懐かしみ長い手紙をくれた人も多く、鳥羽さんはその返礼に嬉しい悲鳴をあげながらも、40年間書き綴った文章を本という形で残せたことに満足している。
鳥羽さんが入局して間もなく同期3人で出した同人誌も、タイトルが「彷徨」であった。入社当時は未知のテレビという世界で積極的に「さまよい歩こう」という意識があったのだという。そして40年たった今「彷徨40年」のあとがきは、「2007年3月彷徨未だ終わらず鳥羽郁夫」と結ばれている。