作品集「穂っ。」 古広みさち

作品集 穂っ。
発行日2008年7月13日
著者古広みさち
印刷・製本あさひ高速印刷株式会社
並製本(雁垂れ)・56ページ・A6

墨色で書かれた手書きのメッセージと手びねりで作られた可愛い山羊の写真で構成された...

墨色で書かれた手書きのメッセージと手びねりで作られた可愛い山羊の写真で構成された作品集「穂っ。」淡いピンクのグラデーションに墨文字のタイトル「穂っ。」だけというシンプルな表紙の中に何が詰まっているか?そっと開きたくなる小さな冊子である。

この冊子は著者の古広みさちさんが心に残る風景や思い出を短い言葉に綴ったもので、手書きの文字と古広さんが「この子たち」と呼ぶ手づくりの山羊が何とも、やさしく心に染み入る。5年ほど前、土の温かさに触れたくて陶芸を始め、その頃から言葉での表現も始めたそうだ。タイトルの「穂っ。」は「ホッという心の安らぎと、穂から種が色んなところへ飛んでいき新しい芽を出す。さ迷える自分の気持でもあるんです」という。

表紙をめくれば、「しっ素にしてじょうひんにしずかにほっ。」古広さんの人生観が垣間見えるメッセージが。幼い頃の思い出がこめられた言葉の中には、今ではあまり見かけなくなった。

ほっかむり「うす桃いろのはなもようまえかけもおそろいな」

ねんねこ「わたいれ矢もようはなちゃんのせなか」

しちりん「ぱたぱたあおいでうるめ焼くちょいぼしやで」

など高度成長前の日本の風景を彷彿させる短文がノスタルジーを誘う。陶芸の山羊には、古広さんが子どもの頃近くの牧場にいた山羊と遊んだ思い出が詰まっていて、「土をこねていると自然に手が動き、いつのまにかこの子たちができあがっている」。寝そべったり、あくびをしているような仕草に心が癒されていくようである。

一つひとつの言葉にこめられた思いは、古広さんの個人的なメッセージを越えて、読む者の心にゆっくりした時間とぬくもりとやさしさをプレゼントしてくれる。最終ページには「ずっといいたかってんありがと」。

小さな小さな冊子だが、想いが形になった宝物のような一冊である。

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