発行人國府克
発行日平成19年11月28日
印刷所あさひ高速印刷株式会社
B5判48ページ並製本
優美な風貌で国内のみならず海外でも日本の象徴として広く知られる富士。日本の美しい風景を描くことで定評のある日本画家國府さんが、富士山を描き始めたのは、むしろ近年になってからのことである。
國府さんが若い頃、画壇では、富士山の神々しい姿を描くには修業を積んだ者にしか許されないという風潮があり、若い画家が富士山を描くのはなんとなくタブー視されていたそうだ。富士山を描かせていただくのはまだ無理と自ら考えた國府さんは、日本各地の山に登って作品を制作、ヒマラヤや中国の天山山脈まで足をのばしてスケッチし、その景色に魅せられて多くの大作を描き好評を博す。山を見ると描きたくなるという國府さんだが、世界の山に登っても常に気になっていたのはやはり富士山だった。
日本人の心の美意識の象徴は富士山であると再認識した國府さんは、ほとばしる想いをこめて富士山を、また日本各地で「・・・富士」と愛称されている故郷富士も描き、昨年より大阪をはじめ全国各地で個展を開催。静謐で力量感あふれる新作が、この画集に紹介されている。
國府克略歴
1937年京都府に生れる。1957年堂本印象に師事、東丘社に入塾。1969年日展「寂光」特選・白寿賞を受賞、以後、日春展奨励賞、京展京展賞など受賞。1978年東丘社退塾、1981年グループ玄を結成。1982年からヒマラヤや中国山岳を数回にわたって取材に歩き、それらをテーマにした大作を多く描き、各地にて個展。2007〜2008 個展「富士を描く」を各地で開催。現在、日展会友・グループ玄所属、京都府日本画家協会所属、理事。