発 行 日 2011年4月25日
著 者 尾形幸子
発 行 あさひ高速印刷㈱
印刷・製本 あさひ高速印刷㈱
デザイン ㈱ASACK
A4判 96ページ 並製本
植物学が日本に入ってきたのは江戸時代と言われ、薬草などの記録画から進化し、現在では植物画「ボタニカルアート」として日本にも定着し、アートの一分野としてカルチャー教室でも人気講座のひとつになっている。著者の尾形幸子さんもNHK文化センターを始め、コープこうべ生活文化センター、宝塚ではコープカルチャー(売布)などに講座を持ち、受講生からは作品集が待ち望まれていた。1997年、尾形さんは植物画家の細井進氏に師事し、翌年、氏からカルチャー教室の副講師として請われ、植物画家の道を歩むことに。2003年に75歳で引退された細井氏の後継者でもある。
氏は画集の発行に寄せて「彼女は優れた植物画家であると同時に優れたインストラクターである」と記し「気持ちが落ち込んだとき、この画集を見れば光が見えてくるだろうし、気持ちが高ぶったときは、安らぎと落ち着きが得られるに違いない」と尾形さんの絵が持つ気品と優しさに触れている。
尾形さんと植物との出会いは本書の最後に記されている「こどものころ」に、そして植物画との出会いは「あとがき」に詳しいが、自然豊かな福井県鯖江市で幼少期を過ごし、草花や虫、自然が遊び相手だったこと、厳格だった父親自らが越前和紙を調達し、一日100枚の習字をこなしたというエピソードにも、植物画をライフワークに選んだ尾形さんの半生が垣間見え、作品に添えられた草花や木々への思いには深い愛情が滲み出ている。
「私はいつもピンセットとルーペを携帯していて、場合によっては植物の解剖をします。教室は時として理科の授業になるのですよ。植物を精密に描くにはその仕組みを知っておくことも必要ですから。そんな時の生徒さんの眼は輝いています」という尾形さん。植物の美しさと神秘が込められた作品集であるとともに、尾形さんの人生が透けて見える記念誌のようでもある。
本書はキャップ書店逆瀬川店(アピア1・1階)、紀伊国屋書店川西店(モザイクボックス4階)にて好評発売中。