平成29年6月
著 者 大江 悦子
発行者 大江 昭治
印刷製本 あさひ高速印刷株式会社
四六判 112
紫の地に、題字が墨文字で書かれた表紙はいたってシンプルだが、見返しに少し奇抜なオレンジ色という組み合わせが大江さんらしい句集「梅花藻」。
俳句作りは水墨画と同じく、40年前から始め、岡安迷子主宰の「藍」に投句し、学んできた。四季折々に詠んだたくさんの句が収められた俳句帳の中から好きな句を厳選して、句集を編纂することを思い立った、と「はじめに」に記している。
表紙を捲ると、巻頭に水墨画が三点掲載され、初旅(睦月)、芽柳(如月)、山櫻(弥生)、菜の花(卯月)、柿若葉(皐月)、麦の秋(水無月)、梅花藻(文月)、星月夜(初月)、彼岸花(長月)、秋日和(神無月)、散紅葉(霜月)、枯葉(師走)と、月ごとに二十一首。最後には孫二人が大江さんを真似て詠んだ句「はねつき」「あさがほ」が大江さんの色紙絵と共に収録され、ほほえましい。
俳句帳から句を選び、句集の体裁や題名を考え、一人で印刷会社に足を運び、編集者との打ち合わせを重ね、できあがった大江悦子さん92歳の句集は、手に取る人を元気づけてくれるに違いない。
咲き満ちて梅花藻白くきらめける
鰯雲広ごりしまゝ暮れにけり
穂芒のさやかに揺れて小屋平