発 行 日:2013年11月
著 者:廣辻 逸郎
印刷・製本:あさひ高速印刷㈱
A5判 並製本 248頁
A4判の表側に時節を得た話題と健康についての持論を、裏面には少し専門的な目の病気をわかりやすく解説した患者さん向けマンスリーの90回分を収録した248頁の冊子を眼科医の廣辻氏が発行した。まえがきで、宝塚市野上に眼科医を開業した50年前、宝塚市の人口は7万人で眼科医院は3軒しかなく、トラコーマなど外眼部の治療が主流で、今日のように眼底の病気を診ることは殆ど無く、医師はルーペ一本で病気を見極めていたと述べ、13年後の昭和51年には検査機器を設置したが、当時は開業医で白内障手術ができるとは予想もしていなかったと回顧している。その後の医療の進歩は目覚ましく、広辻眼科でも今では白内障の日帰り手術が可能で、地域の医院として二代目、三代目の患者さんも診ているそうだが、患者さんと医師の橋渡しの一助になってきたのが、この広辻眼科マンスリーである。
時の話題では「最近の医療事情について」「どうなる今後の医療行政」「薬剤の後発品について」など医療の話から「雑草という草はない」「坂本竜馬から150年」といったエッセイ風、そして平成23年4月と5月の62号、63号では「東北関東地震津波大災害」を取り上げ、89号では「海賊と呼ばれた男と八重の桜」を紹介するなど多岐にわたる話題に氏の考えがちりばめられ、「健康とは」では「ストレスについて」「免疫について」「上手な医者のかかりかた」「日本人の健康志向」「食べ物は薬です」「目は体の窓」「アンチエージングについて」など興味深いテーマで持論が展開され示唆に富んでいる。2面に執筆した「目の病気」は22号までが収録され(以降は現広辻徳彦院長が執筆)、病気についてわかりやすく解説されていて、このマンスリーが患者さんにとって健康や病気のことを理解するのに大いに役立ち、医者との橋渡しの役目を果たしていることがよくわかる。
中には氏の趣味である写真がカラーで収められているので、専門書とは違い気楽に読むことができ、おおいに共感する一冊である。