2017年6月
著 者 今里淑郎(歩兵第168聯隊戦友会元事務局長)
印刷製本 あさひ高速印刷(株)宝塚営業所
B5判 168頁 (カラー32頁)
戦後70年を迎えた2015年、「ビルマ地獄の敗走」と題した記事が神戸新聞に17回にわたり連載され反響を呼んだ。今年数え年で96歳を迎えた今里淑郎さんが取材に応じ(取材時94歳)、インパール作戦など過酷を極めたビルマ戦線の真実が改めて証言された。昨年はその記事を32頁の冊子にまとめたところ、遺族からの反響も大きく、加えて日本政府が遺骨収集のための調査団の派遣を決めたことから、放送局からの取材依頼も舞い込んだ。
宝塚市在住の今里さんは戦後、独力で医療器具メーカーを創業、社長業の傍ら、戦友会の事務局などを務め、1977年にはビルマ巡礼を企画、慰霊碑を現地に建立、その後も巡礼を重ね、生き残った者の使命として戦没者の法要を欠かさずに行って来た。2006年には現地寺院で修業の後、ビルマ僧籍を取得し、上座僧として84歳で慰霊法要を行った。
2009年には、八十八歳の節目に自らの筆で生涯をまとめ、自叙伝「授かりし道」として上梓。文中には戦没者の慰霊を始めた経緯が長女の死とともに語られているのが印象的だ。
そして、この度前述の冊子と、自叙伝からビルマ戦線に関する記述を合わせたビルマ戦線の記録を「九十六歳 ビルマ戦線の証言」にまとめ上げた。あとがきには「96歳まで元気で長生きをさせて頂きましたことはひとえに、英霊の御加護だと感得いたしております。今後も体の動く限り法要を続ける覚悟です。戦後72年が過ぎました。どうか、今の世が多くの犠牲を払った戦争の上に成り立っていることを忘れないで下さい」と記されている。