鹿島晶彦写真集 富士山の四季 撮影者 鹿島晶彦

発行日  2023年4月1日
撮影者  鹿島晶彦
編集協力 ウィズたからづか編集部 
印刷製本 あさひ高速印刷株式会社
B5判 並製本 カラー 86ページ

鹿島晶彦写真集第3弾となる「富士山の四季」。2020年4月に「全国一本桜の旅」、2022年11月に「日本の城と桜」を発行し、アマチュア写真家としての軌跡を遺す。

冬を中心に四季の富士を収録
 鹿島さんは写真を始めた時から、ひとつのテーマを決めて各地を撮影している。一本桜を求めて北海道網走から九州熊本まで352箇所を撮影、城と桜では北海道から沖縄まで90城を桜の時期に撮影し収録した。
 日本が誇る美しき富士が135点収録されている写真集「富士山の四季」は春夏秋冬に分類され、春、桜に浮かび上がる富士から始まる。表紙も桜に縁どられた雪山の富士。見開きは、田貫湖から見る桜を額に見立てた富士で、鹿島さんらしい一葉と言えるだろう。
 夏、秋の富士は美しい稜線を見せるが、雪を冠していないので収録数も少ない。しかし、見開きで収録されている青空に映える花の都公園からの富士や山中湖畔の紅葉を前景にした富士もまた違う美しさを見せている。
 四季の中で最も美しいのはやはり冬の富士。収録点数も79点と一番多い。
 写真家なら一度は撮影したいと望むダイヤモンド富士や湖面に浮かぶ逆さ富士は圧巻だ。
 裏表紙は湖面が凍り、真っ白な雪で覆われた2月の富士。水墨画のような静謐な空気が漂う。
 山中湖の揺らめく湖面から遠くに富士を仰ぐ葛飾北斎風の構図や富士川河川敷の桜エビ天日干しを前景にした富士の写真にも風情が感じられる。
 鹿島さんは「あとがき」で夏季の作品が少なかったことや湘南方面、遠く八ヶ岳などから撮れなかったのが心残りだと記しているが、多くの写真家が撮影したいと望む日本の美しい富士、その四季を写真家の個性で切り取り遺していくことは貴重である。そう思える写真集である。

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