トップページ > 2020年04月号 >女性の健康相談室

腰痛症

 厚労省の統計によると、腰痛は日本人が訴える不調の中で、最も多い訴えであるという調査があります。特に女性にとっては肩こりと並んで国民病のような存在ですね。腰部は骨・関節・筋肉・靭帯・椎間板などで構成されており、これらに無理がかかったり、異常が生じたりすることによって腰痛が起こります。女性に多く見られるのは骨盤が妊娠、分娩に適応できるよう扁平で幅広くなっていて、もともと腰痛になりやすい体格となっているからです。
 出産前後の女性は、かなりの方が腰痛を訴えられますが、分娩後半年ぐらいで自然に治ります。しかしその後の子育てがまた腰痛の原因となったり、中年になると脊椎すべり症という脊椎のずれによる腰痛が男性の4倍もの頻度で起こったり、と腰痛のリスクとは隣り合わせ。それに加え女性ホルモンの変調、更年期障害、そして骨粗しょう症と、晩年にいたるまで腰痛との付き合いは切れません。それだけに原因をしっかり確認して、悪化させない心掛けが大切です。
 治療方法は腰痛を引き起こしたそもそもの原因やその腰痛の程度・状況によってさまざまですが、適切な鎮痛剤、漢方薬の服用やマッサージで軽快することも多いです。また漢方薬で腰痛の原因となる冷えや胃腸の不調を改善すると案外、腰痛がラクになったというケースも多く聞かれます。
 しかし、中には子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣のう腫、子宮ガンのような器質的疾患の場合もあり、注意が必要です。特に卵巣腫瘍は悪性の場合もありますので十分、気をつけなければなりません。整形外科で腰の骨や椎間板に異常が無いといわれた方は特に婦人科系の病気を疑ってみる必要があるかもしれません。体のチェックも含めてお早めにご相談ください。

大西泰彦(おおにしやすひこ)先生 奈良医大付属病院、県立西宮病院などを経て市立松原病院では副院長兼産婦人科部長として勤務。現在、宝塚市にて大西レディスクリニックを開業、同院長。
http://www6.ocn.ne.jp/~gyn/
宝塚の情報誌ウィズたからづか

ウィズたからづかの最新コンテンツ