生理痛や月経前症候群、更年期のトラブルなど、ついつい我慢してすませてしまう女性は少なくないと思います。鎮痛剤やホルモン剤、向精神薬に頼るほどではないけれど・・・そんな方に、婦人科でよく使われる穏やかな作用の漢方薬についてご紹介します。
まずは女性の聖薬ともいわれている「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」。月経不順から産前産後のトラブル、更年期障害まで婦人科では幅広く使われているお薬です。血行を良くして身体を温め、貧血症状を改善したりホルモンバランスを整えたり、といった効果も期待できます。次に「加味逍遙散(かみしょうようさん)」。これは「気」や「血」の異常に効果がある処方で、イライラやうつ状態、不眠などの精神症状によく使われます。更年期障害の治療にも多く使われており、手の湿疹やしみ、肝斑(顔の左右に対象に現れるしみ)などの皮膚症状がでている場合もこの薬を選択する判断基準になります。三つ目、生理痛にも良く使われる「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」。瘀血を治す成分が最も多く含まれ、のぼせやむくみにも有効です。これらは数ある漢方処方の中でも女性によく使われ、「婦人科三大処方」と呼ばれています。
漢方は病気を治すというより本来持っている自然治癒力を高め、不調をなくす働きをするもの。そのため生理痛の緩和が目的で漢方を飲み始めたのが、冷えや便秘まで改善された、というケースもよくあります。
また、西洋医学では対応できない症状も漢方でなら対応可能ということも。例えば「冷え」はこの季節、悩んでいるかたも多いでしょうが、ぴったりのお薬は西洋医学にはありません。一方、漢方には冷えを治すお薬が多く、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)は代表的で、生姜や細辛など体を温める生薬が入っています。
漢方は西洋薬との併用も可能ですので治療中の病気がある人で漢方を使いたい方、新たに試してみようという方はかかりつけ医にご相談下さい。