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尿もれについて

 日本では尿もれについてあまりオープンに語ることは少ないですが、実際、60歳以上の高齢者では軽いケースを含め、3~4人に一人はいるとされています。尿もれにはくしゃみや咳など腹圧がかかったときに起こる腹圧性尿失禁と、尿意を感じた時に我慢できずにもれてしまう切迫性尿失禁とに大きく分けられますが、エストロゲンが低下する閉経後や骨盤の筋肉が弱くなる高齢者にはいずれも珍しい事ではありません。

 腹圧性尿失禁は膀胱や尿道の働きはほとんど正常で、骨盤底がゆるんだり膀胱や尿道が下がったりするために起こります。出産によって尿道周囲の靱帯や筋肉がゆるんでしまうことが多いため、患者様の9割以上が出産経験者です。また、女性ホルモンの低下する閉経前後は、特に腹圧性尿失禁の悪化しやすい時期であり、腹圧性尿失禁は、女性特有の生理現象といえるのです。軽症の方の多くは、「骨盤底トレーニング」により症状が軽くなります。

 切迫性尿失禁は尿意を感じてからトイレに行くまで間に合わずにもらしてしまうタイプの尿失禁。尿意や刺激などに反応して膀胱が勝手に収縮してしまうことで起こります。膀胱が過敏で不安定になり収縮してしまうのには、寒さや冷え、冷たい水の使用、流れる水の音などさまざまな原因があります。軽症の場合のセルフケアには、おしっこがある程度たまるまで我慢し、膀胱を大きくする「膀胱トレーニング」があります。

 尿もれの大部分は薬やトレーニングなどにより改善されます。婦人科の受診に抵抗を感じる方も多いと思いますが、このような悩みの相談、体操の指導なども婦人科でしておりますのでお気軽に受診してください。

大西泰彦(おおにしやすひこ)先生 奈良医大付属病院、県立西宮病院などを経て市立松原病院では副院長兼産婦人科部長として勤務。現在、宝塚市にて大西レディスクリニックを開業、同院長。
http://www6.ocn.ne.jp/~gyn/
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