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卵巣がん

 卵巣がんは「サイレント・キラー(沈黙の殺し屋)」と呼ばれるほど、初期には無症状であることが多く、死亡率の高いがんです。これは卵巣がおなかの内側にある臓器で外から分かりにくいことと、早期には症状が全くといっていいほどない、ということによります。実際、2/3の方は、転移した状態で病院を訪れます。「下腹部にしこりがある」「おなかが膨らんできた」「膀胱が圧迫されて尿が近い」などの症状が出てきたときにはすでにがんが種をまくようにお腹の中に散らばった腹膜播種という状態になっていることが多いのです。

 わが国では卵巣がんにかかるリスクは欧米人に比べ低いといわれています。また卵巣にできる腫瘍の85%ほどは良性です。しかし食生活の欧米化やライフスタイルの変化・環境因子などにより卵巣がんはここ30年間で約3倍に増えており、この差は欧米と縮まりつつあります。

 では卵巣がんを早期発見するにはどうすればよいのでしょうか。残念ながら増加の一途をたどりながら卵巣がんに対する検診については、未だ確立した方法はありません。初期で発見される約30%の症例は、他の手術の際、例えば子宮筋腫の手術の際に偶然発見されるとか、他の病気でCTやMRIなどの画像診断を行った際に発見されています。

 経腟超音波検査が早期発見の糸口になることも多いですので、専門医による内診や経腟超音波検査などの婦人科検診を年に一度は受けられることをお勧めします。

大西泰彦(おおにしやすひこ)先生 奈良医大付属病院、県立西宮病院などを経て市立松原病院では副院長兼産婦人科部長として勤務。現在、宝塚市にて大西レディスクリニックを開業、同院長。
http://www6.ocn.ne.jp/~gyn/
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