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頻尿

猛暑が去り、秋も深まってきましたが、肌寒くなってくるとトイレが近くなる方、少なくないと思います。頻尿は膀胱の不調であることには違いありませんが、痛みや血尿は伴わない限り、病院を受診する人はごくわずかでしょう。あるいは年をとれば仕方ないことだし、だれかに相談するのは恥ずかしいし、と諦められている方もおられるかもしれません。実は同じような悩みを抱えている人は40歳以上の8人に一人と言われ、加齢とともにこの割合は増える傾向にあります。

 起きている間に8回以上トイレにいったり、夜中にトイレで目が覚めたり、また我慢がきかなくなったり。これは2001年に学会で新たに認められた過活動膀胱という病気かもしれません。通常、尿意を感じてから1時間は我慢できるのですが、我慢がきかず排尿を意識的にコントロールしにくくなる状態です。原因には精神的なもの、脳の病気やパーキンソン病によるもの、原因が特定できないものなどさまざまですが、治療にはほとんどの場合、膀胱が収縮してしまうのを抑える抗コリン剤という薬が使われます。薬を飲むことでかなり改善されます。

 また排尿に痛みが伴う場合や血が混じる場合は膀胱炎が考えられます。女性なら一生に一度はかかるとまで言われているポピュラーな病気です。特に膀胱炎の場合はひどくなると腎盂腎炎を引き起こし、治療も入院して行う場合が多くなるため、我慢せず早めにかかりつけ医へご相談ください。簡単な尿検査で診断がつきますし、抗生物質や抗菌剤の服用で症状は速やかによくなります。慢性的なものには漢方薬も有効です。

 膀胱炎の場合はアルコールや辛いものは禁物。そして水分補給は意識して十分に行いましょう。ふだんから尿をたくさん出すことは菌を洗い流して膀胱炎を予防することにもなります。過去に膀胱炎にかかったことのある方は過労時、抵抗力の落ちている時など意識的に水分を多めに摂るとよいでしょう。

大西泰彦(おおにしやすひこ)先生 奈良医大付属病院、県立西宮病院などを経て市立松原病院では副院長兼産婦人科部長として勤務。現在、宝塚市にて大西レディスクリニックを開業、同院長。
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