日々、接する患者さんの訴えの中で最も多いものの一つに不正出血(月経以外の出血)があげられます。不正出血と言っても出血の色や量などさまざまで、原因となる疾患も多岐にわたります。妊娠の可能性のある年齢で月経が遅れている場合の不正出血は流産、子宮外妊娠などが考えられ、腹痛を伴うことが多く、いずれもすぐに受診が必要です。また、排卵期の出血もしばしばみられますが、少量の出血であれば心配はいりません。
妊娠の可能性がない場合の不正出血にもいろいろな原因がありますが、ホルモンバランスの異常(機能性出血)が多いです。ホルモン異常以外の原因としては、子宮頚管・子宮内膜のポリープ、子宮内膜症、ほか膣や頚管の感染症が考えられます。また成人女性の4人に1人が持っているといわれる子宮筋腫も不正出血がみられたり月経量が多くなったりすることで発見されます。特に30歳代以降の女性はは注意が必要です。閉経後では萎縮性膣炎という膣からの出血も多く見られ、これは女性ホルモンを補う治療で良くなります。
しかし、数ある原因の中で年齢を問わず最も心配なのがガンです。最近、子宮頸ガンは若年化が進み、一方、子宮体ガンは閉経後も増加傾向にあります。子宮頸ガン、体ガンともに不正出血が初期症状のひとつとして挙げられます。これらは早期発見がカギですので、年に一度の婦人科検診は欠かさず受けるようにしましょう。