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子宮頸がん予防ワクチン

 ここ数年子宮頸がんの低年齢化が進み、頸がんの検診対象年齢も20歳からに引き下げられました。子宮頸ガンの原因はHPV(ヒト・パピローマ・ウィルス)というウィルスの持続感染と考えられ、このウィルスは性交によって感染します。性交経験があれば、年齢に関係なく誰でもこのウィルスに感染している可能性があるので子宮頸ガンになる可能性があるわけです。

 この子宮頸がんを予防するワクチンがわが国でも3年前に承認がおりました。多くの自治体が国の補助を受け、無料で接種できる体制をとっています。また、これまでの対象ワクチン「サーバリックス」に加え、昨年秋から「ガーダシル」も選択できるようになりました。

 子宮頸がんは20~30歳代の若い世代で死因のトップとなっていますが、この世代に多いHPV16、18による子宮頸がんはこれらのワクチンで予防できるようになったわけです。日本では子宮頸がん患者の約60%がこの2種類のHPVによるものです。その感染を少なくとも6~7年(20年間という推計報告もあります)に渡って予防する効果があると言われています。

 日本産婦人科医会では、接種推奨対象を11~45歳としています。3回の接種が必要で初回、1ヵ月後、初回接種から6ヵ月後の接種が必要です。3回接種することで十分な効き目が得られるため、きちんと最後まで接種することが重要です。

 宝塚市でも指定医療機関において、3回のワクチン接種が無料になります。初回接種時に中学1年生から高校1年生に相当する年齢の女子(平成8年4月2日~平成12年4月1日生の女子)が対象です。(該当年齢以外の方は自費になり、3回で約50,000円です。)

 注意していただきたいのは、このワクチンで全ての子宮頸がんを予防できるわけではないということです。HPV16、18以外の残り40%のHPVによる感染は防ぐことができません。より確実に子宮頸がんを予防するために、20歳になったら毎年1回は子宮頸がん検診を受けましょう。

大西泰彦(おおにしやすひこ)先生 奈良医大付属病院、県立西宮病院などを経て市立松原病院では副院長兼産婦人科部長として勤務。現在、宝塚市にて大西レディスクリニックを開業、同院長。
http://www6.ocn.ne.jp/~gyn/
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