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女性のうつ

 この冬は寒さも厳しく、春が待ち遠しく感じた方も多いと思います。春は日差しも暖かく、心も軽やかになるというイメージが強いのですが、意外と春はうつになりやすい季節でもあります。というのも、春は環境の変化とともに、季節の変わり目でもあり、心身ともにストレスを受けやすい季節なのです。寒暖の差が激しく、一日の中でも昼夜の温度差が大きいため体調を崩しやすく、体調の悪化からうつ状態になってしまうこともあります。

 厚生労働省の調査によると女性のうつ病罹患率は男性の約2倍で、およそ10人にひとりがうつの経験者と言えます。女性は一生を通して月経、妊娠、更年期、閉経などホルモンバランスの変化があり、その変化が精神面にも影響を及ぼすため、うつで悩むかたが男性より多いのです。中でも40~60歳代の女性はホルモンバランスの変化に加え、子どもの手が離れる時期でもあり、その喪失感や環境の変化、職場のストレスなどさまざまな要因が重なり、うつにかかりやすい年齢です。特に更年期の女性は、エストロゲンの分泌不足により精神状態が不安定になることがあり、このことがさらに発病のリスクを高めているのです。

 うつ病の種類にはさまざまなものがあり、それによって治療法も異なります。それを見きわめて適切な治療を受けることが大切です。更年期のうつ症状は抗うつ薬よりむしろホルモン補充療法や漢方薬で軽快することが多いです。

 うつ病は「心の風邪」ともいわれているように、誰でも、いつでも、かかる可能性のある病気です。以前はうつ病というと偏見がつきまとったり、怠け症のように誤解されたりと受診しにくいイメージがあったかもしれませんが、ストレスの多い現代社会、うつはますます増加傾向です。症状が軽いうちにご相談ください。

大西泰彦(おおにしやすひこ)先生 奈良医大付属病院、県立西宮病院などを経て市立松原病院では副院長兼産婦人科部長として勤務。現在、宝塚市にて大西レディスクリニックを開業、同院長。
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