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不正出血

 日々、接する患者さんの訴えの中で最も多いものの一つに不正出血(月経以外の出血)が挙げられます。不正出血といっても出血の色や量、そして年齢層によってさまざまで、原因となる疾患も多岐にわたります。妊娠の可能性のある年齢で月経が遅れている場合の不正出血は流産、子宮外妊娠などが考えられ、腹痛を伴うことが多く、いずれもすぐに受診が必要です。
 排卵期の出血はしばしばみられますが、少量の出血であれば心配はいりません。排卵期出血は出血量も多くなく、数日間のうちに(ほとんど2~3日間で)止まってしまうのが普通です。
 妊娠の可能性がない場合の不正出血にもいろいろな原因がありますが、ホルモンバランスの異常(機能性出血)が多いです。ホルモン異常以外の原因としては、子宮頸管・子宮内膜のポリープ、子宮内膜症、ほか膣や頸管の感染症が考えられます。また成人女性の3人に1人が持っているといわれる子宮筋腫も不正出血がみられたり月経量が多くなったりすることで発見されます。特に30歳代以降の女性は注意が必要です。閉経後には萎縮性膣炎という膣からの出血も多くみられ、これは女性ホルモンを補う治療で良くなります。
 数ある原因の中で、年齢を問わず最も心配なのがガンです。最近、子宮頸ガンは若年化が進み、一方、子宮体ガンは閉経後も増加傾向にあります。子宮頸ガン、体ガンともに不正出血が初期症状の一つとして挙げられます。これらは早期発見がカギですので、年に一度の婦人科検診は欠かさず受けるようにしましょう。

大西泰彦(おおにしやすひこ)先生 奈良医大付属病院、県立西宮病院などを経て市立松原病院では副院長兼産婦人科部長として勤務。現在、宝塚市にて大西レディスクリニックを開業、同院長。
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