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外陰部のかゆみ

 婦人科に来院される患者さんの訴えで多いものが不正出血と外陰部のトラブルです。外陰部は分泌腺が多い上に、おりものや尿、便にいつもさらされています。このため、なにかとトラブルが起こりやすく、かゆみは最も多いトラブルのひとつです。その原因をいくつか挙げてみましょう。
 まず代表的なものがカンジダ(真菌)の感染によるものです。カンジダは身体の抵抗力が落ちている時や抗生物質を服用した後に起こりやすく、自覚症状としては痛がゆい感じがあります。チーズ状のおりものが増えて気づくこともあります。カンジダは女性の4人に3人が少なくとも1回は発症すると言われているほど、婦人科領域では非常によく見られる疾患です。
 また、おりものがまったく正常であるのに外陰部に強いかゆみがあるという場合は白癬菌、また外陰部湿疹・皮膚炎などが考えられます。その他、トリコモナス、毛じらみ、ヘルペスウイルスなどの感染によるものが挙げられます。それぞれの原因によって症状も様々ですが、治療法も異なります。以前に処方された薬を勝手な判断で使用したりすると、かえって悪化することがありますので注意が必要です。
 更年期以降によく見られるのは、萎縮性膣炎によるものです。閉経期を過ぎ、エストロゲンが減少すると、腟の自浄作用が低下し細菌感染などトラブルが起こりやすくなります。また、膣の不快感、乾燥感、かゆみ、性交痛などの自覚症状も現れます。閉経後の女性の多くはこの状態となりますが、エストロゲンの補充により症状はよくなります。
 このように、かゆみの原因は様々で治療薬も多岐にわたります。ドラッグストアでも購入できるかゆみ治療薬もありますが、感染が原因のものには効果がありません。しばらく塗ってみても治らないのでしたら、婦人科にて適切な治療を受けましょう。

大西泰彦(おおにしやすひこ)先生 奈良医大付属病院、県立西宮病院などを経て市立松原病院では副院長兼産婦人科部長として勤務。現在、宝塚市にて大西レディスクリニックを開業、同院長。
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