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子宮体ガン

 子宮ガンには子宮の入り口にできる頸ガンと奥にできる体ガンの二種類があり、それらの成り立ちはまったく違います。今回は子宮体ガンについて説明します。体ガンは発見が難しく、年齢が上がるほどリスクが高まります。40代から60代に最も多くみられますが、最近、30代で発症する人も増えつつあります。今までは欧米人に多くみられるガンだと考えられていたのですが、最近では日本人にも多くみられるようになってきました。その原因は大きく二つに分けられます。

 まず、ひとつには女性ホルモンの影響です。現代女性は、初経年齢が早まり閉経年齢は遅くなっていることに加え、子どもを産む数が減っていることから、昔の人よりも約10倍、生涯で経験する月経が多くなりました。この月経回数の増加が、子宮体ガン増加の原因になっていると考えられています。具体的には、妊娠・出産経験のない人、若い人では月経不順やホルモンの乱れがある人がかかりやすく、肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症の人は、さらにリスクが高くなります。

 もうひとつは日本人の食生活の欧米化があげられます。カロリーや脂肪の多い食事が、本来、子宮体ガンになりにくかった日本人の体質を変えてしまうほどに影響しているのではないかと言われています。子宮体ガンのみならず、脂っこい食事がほかの部位のガンをはじめ、あらゆる病気のリスクを高めていることは知られているとおりです。

 子宮体ガンは初期には症状が出にくいのですが、中には不正出血や月経異常で気づく方もいらっしゃいます。最初は月経量が増える、月経が長引くといった月経の異常として現われるため、月経不順の人や閉経前後の人はいつもの月経異常として見逃してしまうことが多く、発見が遅れがちになってしまいます。不正出血やいつもより月経量が多い、長いなどの変化があった場合は自己判断せず早めに婦人科を受診しましょう。

大西泰彦(おおにしやすひこ)先生
奈良医大付属病院、県立西宮病院などを経て市立松原病院では副院長兼産婦人科部長として勤務。現在、宝塚市にて大西レディスクリニックを開業、同院長。
http://www6.ocn.ne.jp/~gyn/
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