トップページ > 2012年07月号 >女性の健康相談室

閉経期以降のトラブル

  閉経を過ぎると女性ホルモンの影響を受け、子宮も小さくなり腟も狭くなります。腟粘膜も薄くなってちょっとしたことで出血したりします。今回は、更年期障害以外で閉経後に訴えの多い代表的な症状をご紹介します。

頻尿・残尿感
 女性ホルモンの低下に伴い、膀胱が萎縮して小さくなり、おしっこの間隔が近くなってきます。膀胱粘膜も薄くなり、ばい菌に感染しやすくなるため、膀胱炎にもなりやすくなります。水分を十分取ることで尿をたくさん出してばい菌を出してしまえば膀胱炎は早くよくなります。頻尿や膀胱炎になりやすい方はエストリオールという軽い女性ホルモンをしばらく続けるとよいでしょう。

萎縮性膣炎・外陰炎
 女性ホルモンの低下で腟の抵抗力が落ち、腟内に雑菌が増えた状態です。放っておいても特に問題はありませんが、前述の女性ホルモンを短期間服用すると効果的です。また、同時に外陰炎・外陰掻痒症を伴う場合が多いです。外陰部違和感があればご相談下さい。

子宮脱・膀胱瘤
 骨盤の筋肉がゆるんで子宮が下がってくる病気です。子宮が下がってくると一緒に膀胱も下がってきます。股の間に何かがはさまったような感じがする、と来院する方が多いです。手術までしないで、ペッサリーというリングを腟内にいれて子宮や膀胱がおりてくるのを防ぐケースが多いです。
 このような症状は多くの方が経験されます。専門医にご相談下さい。

大西泰彦(おおにしやすひこ)先生
奈良医大付属病院、県立西宮病院などを経て市立松原病院では副院長兼産婦人科部長として勤務。現在、宝塚市にて大西レディスクリニックを開業、同院長。
http://www6.ocn.ne.jp/~gyn/
宝塚の情報誌ウィズたからづか

ウィズたからづかの最新コンテンツ
"> ウィズたからづか|子宮頸がん予防ワクチン
トップページ > 2012年07月号 >女性の健康相談室

子宮頸がん予防ワクチン

 ここ数年子宮頸がんの低年齢化が進み、頸がんの検診対象年齢も20歳からに引き下げられました。子宮頸ガンの原因はHPV(ヒト・パピローマ・ウィルス)というウィルスの持続感染と考えられ、このウィルスは性交によって感染します。性交経験があれば、年齢に関係なく誰でもこのウィルスに感染している可能性があるので子宮頸ガンになる可能性があるわけです。

 この子宮頸がんを予防するワクチンがわが国でも3年前に承認がおりました。多くの自治体が国の補助を受け、無料で接種できる体制をとっています。また、これまでの対象ワクチン「サーバリックス」に加え、昨年秋から「ガーダシル」も選択できるようになりました。

 子宮頸がんは20~30歳代の若い世代で死因のトップとなっていますが、この世代に多いHPV16、18による子宮頸がんはこれらのワクチンで予防できるようになったわけです。日本では子宮頸がん患者の約60%がこの2種類のHPVによるものです。その感染を少なくとも6~7年(20年間という推計報告もあります)に渡って予防する効果があると言われています。

 日本産婦人科医会では、接種推奨対象を11~45歳としています。3回の接種が必要で初回、1ヵ月後、初回接種から6ヵ月後の接種が必要です。3回接種することで十分な効き目が得られるため、きちんと最後まで接種することが重要です。

 宝塚市でも指定医療機関において、3回のワクチン接種が無料になります。初回接種時に中学1年生から高校1年生に相当する年齢の女子(平成8年4月2日~平成12年4月1日生の女子)が対象です。(該当年齢以外の方は自費になり、3回で約50,000円です。)

 注意していただきたいのは、このワクチンで全ての子宮頸がんを予防できるわけではないということです。HPV16、18以外の残り40%のHPVによる感染は防ぐことができません。より確実に子宮頸がんを予防するために、20歳になったら毎年1回は子宮頸がん検診を受けましょう。

大西泰彦(おおにしやすひこ)先生
奈良医大付属病院、県立西宮病院などを経て市立松原病院では副院長兼産婦人科部長として勤務。現在、宝塚市にて大西レディスクリニックを開業、同院長。
http://www6.ocn.ne.jp/~gyn/
宝塚の情報誌ウィズたからづか

ウィズたからづかの最新コンテンツ