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更年期障害の治療

女性ホルモンは20代をピークに少しずつ分泌量が減り始め、40代後半から50代前半くらいの閉経期に一気に減少します。その結果、自律神経の働きが乱れてのぼせ、ほてり、発汗、不眠などの更年期障害を引き起こします。

 ホルモン補充療法(以下HRT)は日本ではまだ広く知られてはいませんが、更年期に減少する女性ホルモンを薬で補う根本的な薬物療法で、欧米において更年期以降の女性に広く普及しており、更年期の諸症状緩和に有効な手段です。また、閉経後にHRTを行うと骨量は増加、維持されますが、HRTを行わない場合、骨量が低下するというデータがあり(表1参照)、骨粗しょう症などを予防するというメリットもあります。
 副作用として、乳がんの発生率が高くなるなどの報告もありましたが、現在ではリスクをきちんと評価しながらHRTを用いるのは安全であるという再評価がされています。


更年期の治療法は、HRTをはじめ、自律神経調整薬、抗うつ薬、そして漢方薬など多岐にわたっていて、その方の症状に合わせて適切な薬を選択したり、組み合わせたりする、いわゆるオーダーメイド治療です。同じ薬剤でもその人に合った薬剤と合った量があり、それも年齢によって少しずつ変わっていきます。

 また、たとえば同じHRTでもパッチ剤(お腹に貼る薬)は飲み薬と比較して、血管の炎症反応を抑え、中性脂肪が上がるのを抑えることが期待されていますが、一方でかぶれが気になる人もいます。


 このように身体の調子を見ながらかかりつけ医と相談し、自分にぴったり合った方法を見つけてください。

大西泰彦(おおにしやすひこ)先生
奈良医大付属病院、県立西宮病院などを経て市立松原病院では副院長兼産婦人科部長として勤務。現在、宝塚市にて大西レディスクリニックを開業、同院長。
http://www6.ocn.ne.jp/~gyn/
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