トップページ > 2011年12月号 >女性の健康相談室

更年期以降のトラブル

 更年期は終わっているはずなのに、最近どうも体調がすぐれなくて…と悩んでいるかたはいませんか?更年期よりむしろ症状も多岐にわたっていて、膀胱炎や尿失禁などの泌尿器系の不調、うつ状態・不眠などの精神神経疾患、腰痛・関節などの痛み、高血圧症、高脂血症、皮膚のかゆみや湿疹などさまざまで、旅行や外出もおっくうになったりします。そしていろいろな科を受診してたくさんのお薬を処方され、その副作用によるものか便秘気味になったり、体がだるかったり、というケースは意外と多く、ますますほかのお薬も増えてしまいます。

 60歳台以降で思い当たるかたがいらっしゃったら、ひょっとして女性ホルモンの減少が原因のひとつかもしれません。更年期に女性ホルモンが急激に減少し、そのまま老年期にさしかかりますと、ホルモン不足の状態が続きます。そして身体のさまざまな不調となって現れるのです。そして将来、骨粗しょう症を引き起こす可能性も。

 このような訴えのかたに、ホルモン補充療法を試していただくと、一ヶ月もたたないうちに症状が改善されたと喜ばれ、段階的に他のお薬も減らすことができたケースがあります。女性ホルモンの不足は心身両面にさまざまな影響を及ぼします。「産後うつ」という女性特有のうつも、環境の変化だけではなく出産によるホルモンバランスの急激な変化が原因のひとつです。

 更年期が終わるとなんとなく婦人科とは縁遠くなりがちですが、女性ホルモンとは一生の付き合いです。うまくコントロールして充実した日々を過ごすことができればよいですね。

大西泰彦(おおにしやすひこ)先生
奈良医大付属病院、県立西宮病院などを経て市立松原病院では副院長兼産婦人科部長として勤務。現在、宝塚市にて大西レディスクリニックを開業、同院長。
http://www6.ocn.ne.jp/~gyn/
宝塚の情報誌ウィズたからづか

ウィズたからづかの最新コンテンツ