立春の行事「荒神星祭」が過ぎ、清荒神清澄寺の境内にある紅梅もほころんで季節は春に向かっています。鉄斎美術館別館「史料館」では今年から富岡鉄斎の作品が通年展示されることになり、4月1日(月)まで、初春にふさわしい福徳の神々「七福神」をテーマにした鉄斎作品を観ることが出来ます。3月17日にソリオホールで笑福亭鶴瓶師匠と親子会に挑む落語家・笑福亭瓶吾さんと鉄斎が描く個性豊かな七福神を鑑賞(前期展示)、福を授けてもらいました。
鉄斎に抱いていたイメージと違ってユーモアあふれる遊び心が楽しい
清荒神清澄寺といえばかまどの神様で有名ですが、昔ながらの露店や出店が並ぶ参道も昭和にタイムスリップしたようでいいものです。
境内にある鉄斎美術館別館「史料館」では通年、鉄斎の作品が見られるようになったので、気軽に立ち寄ることができ、僕にとって遠い存在だった鉄斎が身近になったような気がします。
史料館での1回目の展示が「鉄斎の七福神」で大黒天、恵比須、毘沙門天、弁財天、寿老人、福禄寿、布袋が鉄斎独自のタッチで描かれていて、楽しく観ることができます。
七福神の中で日本で生まれた神は恵比須さんだけで、清荒神に祀られている布袋さんは中国に実在した禅僧だそうです。七福神として成立する前は個々に信仰されたことから、鉄斎も布袋や寿老人などを個別に描いた作品が多く、「大布放賭図」は大黒天と布袋が双六を愉しんでる微笑ましい画です。
墨一色で描かれた86歳の作品「布袋遊戯図」は大きな袋と杖を携えて子どもと戯れている布袋さんの表情がユーモラスです。大津絵に取材した「擬土佐又平筆法遊戯人物図」は、長い頭を持つ福禄寿とその頭に梯子をかけてよじ登る大黒天が漫画チックに描かれていて笑ってしまいます。大黒天と相撲を取って福禄寿が投げ飛ばされる画など遊び心のあふれる遊戯図が多く展示されていて意外でした。古希を迎えた年の正月に描かれたという朱墨の寿老人は鉄斎さんの自画像でしょうか?
鉄斎は古典や先人の模倣から始まり自分流の表現を極め鉄斎ワールドを創った。瓶吾ワールドを創れるよう落語家として精進したいと思います。