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星組 碧海 さりお

新トップスターコンビ宝塚大劇場お披露目となる星組公演は、謝珠栄氏が新生星組のために書き下ろした幻想的な歴史ファンタジー『眩耀の谷~舞い降りた新星』と、華麗なる歌とダンスのショー『Ray―星の光線―』の2作品を3月9日まで上演中。 熱量のある男役になりたいと語る101期生の碧海さりお、尊敬する礼真琴からすべてを学び、初主演に挑む!

新生星組披露公演の新人公演で、 主演を射止め可能性に挑戦

 新トップスター礼真琴が率いる新生星組披露公演が宝塚大劇場で開催中。礼真琴と舞空瞳の新トップコンビを中心とする新作のオリジナル2本立ては、謝珠栄氏の作・演出・振付による幻想的な歴史ファンタジーの幻想歌舞録『眩耀の谷~舞い降りた新星~』と、中村一徳氏の作・演出による華麗なるシンギング&ダンシング・ショーのShow Stars『Ray―星の光線―』。待ちに待ったお披露目公演の舞台が、あでやかに、のびやかに、圧倒的な輝きを見せつけている。
 新人公演『眩耀の谷~舞い降りた新星~』の主役を、2015年に入団した第101期生の碧海さりおさんが射止めた。「尊敬する礼真琴さんのトップお披露目公演であり、謝珠栄先生のオリジナル作品の新人公演で初主演をさせていただくという、あまりに大きな出来事に驚きすぎて、頭の中が真っ白になり、覚えていた台詞が全部、とんでしまいました」と碧海さりおさん。明るい高揚感に裏打ちされたチャーミングな表情が魅力的だ。
 「研2になりたての頃、『こうもり・・・こうもり博士の愉快な復讐劇・・・』にて礼真琴さんが演じていらっしゃるアルフレード役を新人公演でさせていただきました。その時から、お人柄の素晴らしさにとても憧れています。今回、トップになられた礼真琴さんが演じられる役に新人公演で挑戦させていただけるという、礼さんから直接、いろんなことを学べる大切な機会をいただいたことに感謝の気持ちでいっぱいです」
 『眩耀の谷~舞い降りた新星~』は紀元前800年頃の中国大陸が舞台だ。自然豊かな亜里の地に小国を築きあげた汶族を、大国の周が攻略し統治下に置く。眩耀の谷の探索を命じられた、周の新しい大夫・丹礼真は、神の使いの幻を追ううちに汶族の舞姫・瞳花と出会い、思わぬ運命に流されていく。
 「オリジナル作品の初演という緊張感や熱さ、思いっきり大地を感じる場面の力強さや温もりなど、いろんなものを味わいながら、みんなと一緒に楽しんで、役づくりをしていきたいと思います。礼真琴さんは誰よりもお忙しいはずなのに、下級生にも声をかけてくださいます。そんな礼真琴さんのすべてを学びたいです。息遣いや、ちょっとした間なども、とても勉強になります。ただただ、礼さんが素晴らしすぎて、私は何かしら少しでも学ぶことから始められれば幸せです」
 明朗な意気込みで語る碧海さりおさんに宝塚音楽学校受験生時代のことを聞くと、「宝塚受験を諦めるという選択肢は私にはありませんでした。チャンスがある限り何度でも挑戦したいと思っていました。小さい頃からクラシックバレエを習っていたので踊ることは大好きですが、宝塚音楽学校入学直後に、芸の道に限りはないと思い知り、必死でがんばろうと決意しました。悶え苦しんだ時間があったから、今ものすごく宝塚が大好きです。合格できて、男役になれたから満足、というのではなく、少しでも上のレベルを目指して、諦めずに進化し続ける男役でありたいです」
 芸名の碧は紺碧の空からとった。可能性は無限、という思いを籠めた。「“諦めたら自分が負け、やれる限りはやるんだ”という、高校の大先輩の本田圭佑選手の言葉に何度も救われました。キラキラして、ギラギラしている、ステキな星組の熱さを自分の中に取り込んで、熱量のある男役になりたいです。何があっても楽しんでいる上級生の、キラキラッと輝いている姿が眩しいので」
 やりたい役はたくさんあるそうだが、いつか演じてみたいのは、物語を進めていくストーリーテラーの役。碧海さりおさん自身の物語が、星々の輝くページを彩っていく。

碧海 さりおさん

2015年『1789』で初舞台、星組に配属。20年『眩耀の谷』で新人公演初主演。
出身/石川県  愛称・ちゃりお、さりお

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
(株)ティーオーエー代表取締役、現代文化研究会事務局/主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカという夢1914~2014」(青弓社)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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