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雪組 星南のぞみ

宝塚大劇場雪組公演は、20世紀半ばのロサンゼルスを舞台に、大人の恋の行方を描くミュージカル「私立探偵ケイレブ・ハント」と、今なお愛され続ける名曲の数々で構成するショーグルーヴ「Greatest HITS!」の2作品を、11月7日まで上演中。 新人公演ではリアル感を大切に現代的な女性を演じたいと語る、雪組若手娘役、星南のぞみ。成長を経て2度目の新人公演ヒロインに挑む!

新人公演のヒロインを射止め、 大人の女性の魅力を表現する

 宝塚大劇場では雪組公演ミュージカル・ロマン『私立探偵ケイレブ・ハント』とショーグルーヴ『Greatest HITS!』を11月7日まで上演中。この公演は2016年の東京宝塚劇場の掉尾を飾る。
 
 新人公演『私立探偵ケイレブ・ハント』のヒロイン、イヴォンヌ役を射止めたのは2012年に初舞台を踏んだ第98期生の星南のぞみさんだ。新人公演『ルパン三世―王妃の首飾りを追え―』のヒロイン、マリー・アントワネット役に続く2度目の挑戦である。 

 「2年前に初めて新人公演のヒロインをさせていただきましたが、再びヒロイン役をいただけるとは思っていませんでしたので、お聞きした瞬間は驚きのほうが大きかったです。とにかく、前回より成長した姿をご覧いただけるようにがんばらなければという気持ちでいっぱいです」

 前回はフランス王妃マリー・アントワネットとして台詞を喋ることで精一杯だったと自身の演技を厳しく振り返る星南のぞみさんだが、「今回の新人公演で演じさせていただくイヴォンヌは、1950年代のロサンゼルスで働くスタイリストという役柄です。現代的な女性なので、ふだんの生活からもヒントを得てリアル感を大切に演じたいと思います」
 
 イヴォンヌには探偵事務所の所長を務めるケイレブという恋人がいる。ケイレブとイヴォンヌはお互いの生き方を尊重し合っているが、新たな段階に踏み出す機会を見つけられずにいたという設定だ。イヴォンヌ役では恋人のケイレブと大声で言い争う場面もあるというが、「ただ怒鳴るのではなく、ケイレブのことを思って言っているというところをお伝えしたいです」

 そんな恋する男女の心の機微が繊細に描かれたミュージカル『私立探偵ケイレブ・ハント』の本役でも、星南のぞみさんは望海風斗が演じるジム・クリードの恋人レイラ役に抜擢され、等身大の女性を演じている。

 「本公演でレイラ役をいただいたことも驚きでしたが、この機会にこれまで舞台でほとんど表現する機会のなかった大人っぽい演技を学ばせていただきたいと思っています」
 
 確かに星南のぞみさんがこれまで演じてきたのは子役などの可愛らしい役柄が多かった。けれども実生活では長女であり、人の世話をするのも好きなのだという。

 また、2015年9月に放映されたテレビドラマ「小林一三~夢とそろばん~」に鳥井春子役での出演経験もある。「テレビドラマの収録は1シーンだけを角度を変えて撮り直すことも多く、舞台と違う所がたくさんありました。役者さんはすぐにスイッチが入って演技されるので、とても勉強になりました」
 
 研5になった今、こんな上級生になりたいと下級生から思われるような存在を目指しているそうだ。「お稽古場では役づくりの過程を組の全員に見られるのですごく緊張しますが、舞台の上ではそういった緊張感からは解放されて役に集中できます。私にとって今の1番の課題が歌唱力なので、技術的なことはもちろん、心から歌えるように日々精進したいと思います」
 
 3歳からバレエのレッスンを積んできたという星南のぞみさん。目指す娘役像は「出すぎず、引っ込みすぎず、男役さんを限りなく素敵に見せられるような娘役です。同期ががんばっている舞台を観ると自分のことのように嬉しいのと共に、私ももっともっと努力しなきゃと意欲をもらっています」
 
 おっとりとした雰囲気からは想像しにくいが、趣味はスキューバダイビング。「小さい頃からやっています。泳ぐのが大好き。意外に思われるかもしれませんがアウトドア派なんです」
気品ある快活なプリンセス役が最高に似合う娘役の1人である。

星南のぞみさん

2012年『華やかなりし日々』で初舞台、雪組に配属。15年『ルパン三世』新人公演で初ヒロイン。
出身/滋賀県  愛称・りさ

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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