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花組 瀬戸 かずや

6月24日から7月25日まで、花組・新トップスター蘭寿とむのお披露目となる宝塚大劇場公演は、ガストン・ルルーの怪奇小説「オペラ座の怪人」を題材にしたミュージカル『ファントム』。 颯爽とした立ち姿が魅力の瀬戸かずや、新人公演を卒業し、宝塚的な魅力ある男役像を全力で追求する。

新生花組男役全員で踊る 『ファントム』のフィナーレも見どころ

 新生花組公演『ファントム』が6月24日、宝塚大劇場で初日を迎える。

 ガストン・ルルーの小説「オペラ座の怪人」を、アーサー・コピットの脚本とモーリー・イェストンの音楽によりミュージカル化し、ブロードウェイで初演したのが1991年。その宝塚版が、宝塚歌劇90周年の2004年に中村一徳氏の潤色・演出で宙組により上演され、2006年には花組で再演された。「再演は5年前になりますが、鮮やかに覚えています」と瀬戸かずやさん。90期生で今年、研8の花組男役スターだ。
 「劇中劇で『カルメン』のリハーサル場面があり、団員を率いて踊るラシュナル役をされていた上級生が、団員の私たちに一生懸命ダンスを教えてくださいました。今回、私がそのラシュナルをさせていただきますので、下級生をしっかり引っ張っていける上級生の一人になれるよう、がんばりたいと思います」

 宝塚ファンの母親に観劇に誘われても、興味をもてず断っていたが、変化をもたらしたのが宙組『エリザベート』のビデオだった。母が見ているのを何気なく目にして、すごいな、と興味が湧いた。何本かビデオを一緒に見るようになり、気づいた時には月組トップ真琴つばさのファンに—。が、すでに退団公演の最中。千秋楽は大泣きした。
 「端っこでもいいから、あの同じ舞台に立ちたい」と宝塚音楽学校受験を決意した。
 「当時の私は、ただ動き回るのが大好きな高校生。熱意と笑顔だけは誰にも負けないぞ、という思いだけで受験を乗り切ったようなものです」
 そう言って笑った顔が、やけに颯爽として見える。

 新人公演で少しずつ、役をもらえるようになっていた2010年3月、『虞美人』の新人公演で2番手の劉邦役に抜擢された。
 「前年の2009年に『外伝ベルサイユのばら—アンドレ編』の新公で衛兵隊を率いるアルマン役をいただき、初めてセンターでソロを歌いました。その経験で度胸が据わったのか、劉邦という大役も受け止めることができたのだと思います。あれができたから今、これができる—、その積み重ねが大事なんだなとすごく思います」

 そして7月、『麗しのサブリナ』で、新人公演初主演が叶った。
 「とても貴重な経験をさせていただきました。前回はコスチューム物で衣装替えや鬘の付替え、細かい装飾品の着用もあり、本番前日の舞台稽古だけでお客様の前に出るのは緊張しましたが、『麗しのサブリナ』では男役の基本であるスーツの着こなし方や動き方など、教科書のような男役の基本を学び、今まで以上に舞台が楽しくなってきました。男役に憧れて宝塚に入ったので、これからもいろんな役に挑戦していきたいです」

 そんな瀬戸かずやさんにとって、このたびの『ファントム』は新人公演を卒業後、2回目の宝塚大劇場公演だ。「新公を卒業し、瀬戸かずやを表現できる場が一つ減りました。これからは自分なりに自分らしい男役を創り上げると同時に、宝塚的な魅力ある男役像を全力で追求していきたいと思います。男役全員で踊る『ファントム』のフィナーレナンバーの稽古がすごく楽しみ。ご存知のとおり、新トップの蘭寿とむさんは元・花組。私が初舞台を踏んで花組に配属されてから2作、ご一緒させていただきました。,06年『ファントム』の直前に宙組へ組替えされたので、お帰りなさいと、なつかしさでいっぱいです。蘭寿とむさんは男っぽい男役。私が目指すのも男くさい男役。まずは蘭寿とむさんの背中を見ながら生き生きと男役を愉しんでいきたいです」

 宝塚が大好きなので、と声に思いを込めた瀬戸かずやさんの、昂揚感ある表情がきれいだ。東京宝塚劇場公演は8月12日から9月11日まで。

瀬戸 かずやさん

2004年『スサノオ』で初舞台、花組に配属。
10年『麗しのサブリナ』で新人公演初主演。
東京都出身/愛称・あきら

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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